胸が大きい女性だからこそ抱える悩みもある。自身の体験談を混じえて、そう説明してくれたのは、大きいサイズのブラ専門店「ivyy(アイヴィー)」のプロデューサー兼代表取締役である原田奈津美。華やかな芸能界からビジネスの世界に飛び込んだ彼女が語る、“下着に求めるもの”とは?
取材・文/本田恵理(HEW) 撮影/川島彩水
隠したくても隠せない、胸が大きい女性の悩み
――胸が大きい女性の悩みには、どんなものがあるのでしょうか?
「胸が大きい」と聞くと、特に男性は、峰不二子のようなメリハリが効いたボディラインを想像すると思います。ですが、実際は胸が大きければ大きいほど、服選びで気をつけないと太って見えてしまいます。首が詰まった服は太って見える一方で、襟が開いた服を着ると、今度はいやらしく見えてしまう。男性にはわかりにくい部分かもしれませんが、「胸は大きければ良い」ってものでもないんです(笑)。
あと下着に関して言えば、在庫数が少ないことで悩む人が多いですね。大手ブランドさんは広くサイズ展開していても、やはり平均的なサイズの在庫数が圧倒的に多いので、結局胸が大きい女性は、下着選びに不自由を感じることが多いんです。
――確かに、下着売り場に行くとFカップ以上の展開は一気に規模が小さくなります。G、Hとさらにカップ数が大きくなると、下着選びがもっと大変になっていきそうです。
そうなんです。もともとの選択肢が少ないので、「その商品が欲しいから買う」ではなくて「その商品しかないから買う」という感覚で下着選びをせざるをえない女性が多いんですよね。日本だとBカップ、Cカップの女性がメイン層として商品づくりされていることが多いと思います。だから、ほとんどの下着ブランドで、そのカップに合わせてサンプルを作っていると思うんですが、そのサイズで可愛いデザインが、大きなサイズ用に引き伸ばされても可愛いとは限りません。Cカップだと可愛く見える小花柄でも、大きいサイズだと布地の面積が大きくなるぶん、花の数がワッと多くなって妙な迫力が出てしまう(笑)。
大きいサイズで可愛いデザインの下着を日本で見つけるのは大変なので、自分も海外に行ったついでに下着を買ったりしていましたが、やはり日本人の体型に合わなくて、フィットせずワイヤーが当たったりしてしまったりするんですよね。
――起業のきっかけも、そういった悩みからだったんでしょうか?
ずっと芸能活動をしていましたが、「30歳になったときも芸能界で食べていけるか?」と考えてみたら、「無理だな!」という結論になりました(笑)。芸能界でトップを目指すハングリー精神もなく、金銭面で援助してくれていた親にそろそろ恩返ししたい気持ちがふくらんで……。そういうタイミングが重なって、事務所の社長含めた周りの人に「何か新しいことを始めたい」と話すようになりました。
――「下着専門店」ではなく、「大きいサイズの下着専門店」に絞ったのはなぜですか?
「絞った」というよりは、「それしかなかった」というか。自分が欲しいものしか作れないと感じたんです。私自身も胸が大きくて下着選びに困っていたので、「無いなら作ろう」と。自分含め下着選びに悩んでいる人たちの選択の幅を広げてあげたいと感じました。
創業時、ぼったくられても「とにかく前に進むしかない」
――ビジネスアイディアオーディションでグランプリを受賞して、実際に会社を立ち上げることになりました。創業時はどんな感じだったんでしょうか?
何をすればいいのかもわからないまま起業したので、「右も左もわからないから、とにかく前に進むしかない」という状態でした。ただ出資会社が付いてくれる中でのスタートだったので、今思い返してみても、最高の環境ではありました。とはいえ何をどうやって下着を生産すればいいのかもわからず……。結果、ぼったくられました(笑)。
――ぼったくられたんですか!?
ぼったくられましたね~(笑)。あまり詳しくは言えませんが、初回生産で相場の2.5倍くらいの料金を払っちゃいました。他にも、手伝ってくれるはずだった人たちが、いつの間にかいなくなっちゃっていたり……。創業時は本当にドタバタでした。
――「もう無理だ!」と心が折れそうな場面ですが……。
ふふふ、たぶんアホなんだと思います(笑)。でも、ビジネスに関してもいろいろサポートしてくれた事務所の社長を始め、助けてくれる人たちもいてくれた。そうやって何とか窮地を乗り越えられたから、「やめよう」とか「やめたい」という考えは出ませんでした。それに出来上がった商品をお客様に合わせたとき、すごく嬉しさを感じたんです。「まだまだ作りたいものが、たくさんあるな!」という意欲が湧きました。
社長自ら手作業でブランドタグを作る理由
――商品開発で意識していることは何ですか?
「太って見える」という悩みに繋がるのですが、体の横幅から胸がはみ出すラインになっていると、洋服を着たときに太って見えてしまうんです。ですから、「ivyy」の全ての下着が、体の横幅から胸が出ない設計になっています。デザイン面では、いろんな方に着ていただきたいので、「シンプルすぎず、セクシーすぎず」を心がけています。着やすくて可愛いものを作らないと、「お客様に寄り添っている」とは言えません。
――ブランドタグを手作業で作ることにこだわりがあると聞きました。
かなり大変ではありますが、やると決めています……!
――普通だと、真っ先に外注に頼りたくなる部分だと思うのですが……。
ブランドタグって、普通なら捨てちゃう部分じゃないですか。それがもったいなく感じました。実家が農家なこともあって、前々から環境問題にも興味があったんです。何か良い方法がないか調べてみると、シードペーパー(ひと晩水につけて土に埋めて育てると、花が咲く再生紙)というものを見つけました。「ivyy」というブランド名は植物の名前から取ったものですし、農家の娘という私自身のルーツにも、環境問題に対する関心ともリンクしますし、これは!と思って発注したんですけど……。シードペーパーには印刷できないことがわかりました(笑)。
――おっと……。
それでも、シードペーパーのタグを使うことは諦められませんでした。商品って、デザインなどは私が担当しているとしても、自分で針や糸を使って作ったものではありません。だから、お客様に私から直接感謝を伝えられるものを付けたかったんです。そこで初回生産分のタグにブランド名のスタンプを手作業で押してみたところ、大変ご好評いただきました。今後も感謝の気持ちを込めて、ブランドタグは手作業で作り続けるつもりです。譲れないこだわりのひとつですね。
約2年半ぶりの新作をクラウドファンディングで発表予定
――「ivyy」の今後の展開や、将来のビジョンなどはありますか?
直近の展開でいうと、2020年の春くらいにクラウドファンディングで新作を発表して、お客様の反応を見てみたいなと思っています。
――約2年半ぶりの新作ですね。
そうなんです……! しばらく新商品が出せていない状態にもかかわらず、リピーターの方や新規の方がいらっしゃって、本当にありがたいです。お客様の反応が今からとても楽しみです。
あとは、「ivyy」がもう少し大きくなって安定した状態になったら、体と下着の繋がりをトータルサポートできるサロンを開きたいと考えています。せっかく胸をきちんと支える下着を着けていても、猫背だとストラップで支える意味がなくなってしまう。下着というテーマから体の癖を見直し、ヨガなどで健康な体作りから始めていただくような内容を考えています。下着を着る喜びや楽しみと、自分の体について知ってもらうことを繋げたいです。
――今まで何も考えずに下着を着けていましたが、下着は健康とも繋がっているものなんですね。
下着って奥が深いんですよ。綺麗な下着を着けると、自然と胸を張って歩けますよね。当たり前に着けている下着が心身に与える影響を、たくさんの方に知っていただきたいです。
直近の展開でいうと、2020年の春くらいにクラウドファンディングにて新作の発表および先行予約販売を試みようかと思っております。また、お客様に直接お会いできる機会をもっと作っていき、お客様の声を直に聞く機会を作っていこうと考えています。3月には、下着の今更聞けないことやご自身のお悩みをご相談していただけるイベントを開催予定です。今回のイベントはサイズ問わず、すべての方に遊びに来ていただけます! ぜひ遊びにいらしてください。
イベント開催情報
《 イマサラキケナイ 》vo1
*日時
2020年3月29日(日)
11:00-19:00 【限定24名】
・下着のフィッティングレッスン
・座ってできるヨガクラス
・下着の試着(ivyy/Chasney Beauty)
【ivyyの新作お披露目も予定しています☆】
*参加費 5000円
*開催場所
Viviana(中目黒)
東京都目黒区上目黒1-14-9 ST桜橋A棟2F
【内容】
「外側からも内側からもキレイに。」をテーマにフィッティングのプロによる下着の個別フィッティングや日常で取り入れられるバストケアトレーニングや矯正ヨガ、内側からキレイをアプローチしてくれる野菜スムージーもご用意しております。今更聞けない下着のお悩みやボディメイクに関するご相談を
この機会にお聞きにいらしてください! また、会場では今春発売予定のivyy新作のお披露目も予定しております。
※女性限定のイベントでございます。
スタッフも女性だけですので、安心してご参加いただけます。
皆様のご参加をお待ちしております。
【問い合わせ先】
株式会社Tiedeur 担当:原田
info@ivyy.tokyo
instagram: @ivyy_tokyo
Profile
原田 奈津美1992年3月10日生まれ。神奈川県出身。2013ワンライフモデルオーディションにてベスト8に選出され、本格的にモデル活動を開始。広告モデルやラジオ、地上波やネット番組でのレギュラー出演などのモデル・タレント活動を経て2016年より企業。運営ブランドである”Eカップからの下着ブランド ivyy(アイヴィー)”を始める。ivyyでは代表自身がメインモデルを務めている。
"大きい" - Google ニュース
February 18, 2020 at 04:00PM
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