「恐怖の武漢」から脱出した邦人、留まった邦人、それぞれの運命や如何に。ウイルスに立ち向かう予防策も含めた、「パンデミック」レポート。
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昨年末に初めて、湖北省武漢市当局が「謎のウイルス性肺炎」の発症者が出ていると発表して以降、新型コロナウイルスの猛威は留まるところを知らず、その不気味な足音は着実に世界に響きつつある。
タイ、フランス、米国、豪州、そして日本。感染者は各国に広がっていて、「震源地」である中国中部の武漢市は、人口約1100万の大都市ながら「街の呼吸」が止まったかのような死の街と化しつつある。
「『謎のウイルス』の存在が明らかになった昨年末から今年の年初にかけては、正直に言って『あっ、武漢が問題になってるんだ』というくらいであまり危機感はありませんでした」
と語るのは、1月28日現在、武漢に留まっている邦人ビジネスマンだ。彼が街の様子の「実況中継」を続ける。
「雰囲気が一変したのは1月20日頃でした。というのも、習近平(国家主席)が『効果的な措置をとって、断固、感染拡大を抑えるように』との指令を出したからです。『習近平がマジになってる。これはヤバいんじゃない?』と思い始め、実際、その日くらいから街を歩く人のマスク姿が増え、今では99・9%の人がマスクをしています」
一方、武漢から「脱出」した別の邦人ビジネスマンはこう振り返る。
「はじめは、春節休み(1月24~30日)を乗り切れば大丈夫だろうという、わりとのんびりした空気だったんですが、1月20日頃から一気にマスク姿の人が見え始め、緊張感が高まっていきました。そして23日、日本の本社からできれば帰国するようにと言われ、慌てて帰国を試みました」
しかし、その日の朝10時から飛行機や鉄道といった公共交通機関が閉鎖され、武漢から出ようにもなかなか出られそうになかった。
「ところが、外国人であれば高速道路は使えるという情報があったので、会社の車で高速道路に向かうと、実際、2時間走って隣の市に抜けることができました。そこから電車で2時間、さらに高速鉄道に4時間乗り、計8時間かけて上海の空港に辿り着き、どうにか出国しました」(同)
対して、先の「残留邦人」は、
「公共交通機関が封鎖されるとの情報は、1月23日の午前2時頃にウィーチャット(中国のSNSアプリ)のグループチャットで流れてきました。でも、私が起きてそれに気が付いたのは7時頃で、その3時間後には封鎖。これでは出国の準備も間に合いません。それに、仮に武漢から出られても途中で足止めを食らい、武漢に戻ろうにも封鎖されて戻れないという事態が一番イヤだったので、武漢に留まることにしました」
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February 08, 2020 at 06:01AM
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