残された短い時間をどう過ごすのか――。京都を拠点に活動する劇団「MONO」代表の土田英生(ひでお)が初めてメガホンを取った映画「それぞれ、たまゆら」が、17日から京都・出町座で公開される。全国でも順次公開予定。
舞台はある地方都市。原因不明の病気で、急な眠気に襲われた人々が次々と倒れていく。2017年に刊行した自身初の小説「プログラム」(河出書房新社)を原案に脚本を書き下ろした。「たまゆら」は「つかの間」を意味し、「それぞれの最後の時間を短編集のように描きたかった」という。
緊急避難所の学校に身を寄せる人々。年齢差を気にするカップル、妻の浮気を巡ってけんかする夫婦、身体的コンプレックスにとらわれ続ける男……。人生が終わる瞬間まで、滑稽(こっけい)で切ない日常が続く。「いつか絶対に来るはずの地震に現実感を抱かないように、危機の中でも自分が死ぬ実感が湧かず、普通に過ごしてしまう気がする」
原因不明の病気という設定、廃校で撮影
撮影は昨年6月に埼玉県内の廃校で行った。中越典子、鳥谷宏之、板垣雄亮のほか、金替康博らMONOのメンバーも出演。演劇と同様に稽古(けいこ)した上で、4日間で主なシーンを撮り終えた。長回しで撮影された場面が多く、笑いつつも、時にどきりとさせられる、MONOの舞台を見ているような映画に仕上がった。
原因不明の病気という設定だが、物語の着想は戦争から得たといい、平穏な日常が終わることへの恐怖をイメージした。「気付いた時には終わってしまっている。そうならないよう、日ごろから小さくても声を上げていく必要があると思う」
今年5月の公開予定が、新型コロナウイルスの影響で延期に。期せずして、見えないウイルスへの恐怖が広がる今の社会に重なる作品となった。「どう受け止められるか不安もあるが、リアリティーは増したかもしれない。見た人が、それぞれのたまゆらに思いをはせてもらえれば」
新型コロナで創作の悩みに直面
土田は1967年生まれ、愛知県出身。89年に劇団「B級プラクティス」(91年に「MONO」に改名)を旗揚げし、劇作家、演出家、俳優として幅広く活躍してきた。7月19日に始まるドラマ「半沢直樹」(TBS系)の続編にも出演する。
劇作家として現代社会の諸相をユーモラスな会話で紡ぐ手法に定評があるが、新型コロナで人々の日常生活が一変し、新作を書けないでいるという。
「現実にフィルターをかけてうその世界を作りつつ、現実のどこかの色だけを濃くして見せるのが僕らの仕事。今は現実がつかめない。マスク一つとっても、登場人物が着けていたら新型コロナを連想され、していなかったら不自然に映る。日常をどう描けばいいかも、今後どうなっていくかも分からない」
同じ戸惑いを東日本大震災などの際にも感じたというが、「今回は全世界というところが、これまでの災害や事件と決定的に違う」と話す。どこかの国、あるいは日本だけの問題ならば「別の日常」を書くことで作品は成立する。今は「別の日常」が存在しない。
新型コロナの影響で経済的な困難もあるが、それ以上に創作の悩みに直面している。「ここを抜けた先にどんな作品が出てくるのか、まだ分からない。これまでとは違ったものになりそうな予感がある」 【関雄輔】
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July 04, 2020 at 02:41PM
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日常終わる恐怖をイメージ 劇作家、土田英生が初映画「たまゆら」に込めた思い - 毎日新聞 - 毎日新聞
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