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Sunday, January 26, 2020

テスラ、本当にVWより「大きい」のか - ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

テスラは今月、中国で大衆向けEVセダン「モデル3」の納車を開始した Photo: Ding Ting/Zuma Press

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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  昨今の自動車市場では「大きいことはいいことだ」とはやされている。だが株式市場の自動車銘柄となると、話はもっと複雑だ。

 テスラの時価総額は1000億ドル(約11兆円)の大台を駆け抜けた。トヨタ自動車に比べればまだ半分以下だが、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)を抜き、米市場シェアでトップに立つゼネラル・モーターズ(GM)の倍に達した。企業価値ではVWがなおテスラを上回る。企業価値には資本構成の違いが反映されるため、比重の目安としてはより優れている。ただ、どちらで計算したとしても、売上高などファンダメンタルズに比べたバリュエーションギャップは衝撃的だ。

 欧州と中国の規制が主な要因となって、電気自動車(EV)が従来型自動車に取って代わることから、投資家は規模をそれほど重視していないと結論付ける向きもあるかもしれない。現実はさらに入り組んでいる。業界の技術革新が進む中、既存の自動車メーカーにとって規模の大きさは利点にも足かせにもなる。こうした固有の不確実性は、投資家が株買いをためらう理由の1つとなっている。

 トヨタは間もなく、通期の販売・生産台数を発表する。VWはこれをもって正式に、2019年自動車販売台数で世界トップとなる公算が大きい。両社は昨年、ほぼ一貫して互角に渡り合っていたが、VWは年末にかけて力走し、12月の納車台数は前年同月比で12.5%増を達成した。

 VWはもろ手を挙げて喜んでいるわけではない。ヘルベルト・ディース最高経営責任者(CEO)は今月、ヴォルフスブルクの本社で幹部に対し、売上高より利益に注力するよう公然とはっぱをかけた。さらに、赤字縮小を目指すメキシコ部門について、市場シェアを犠牲にしてまで採算割れの車種を廃止したと称賛した。

 VWの年末のラストスパートには不純な動機があった。今月発効した欧州連合(EU)の新たな排ガス規制により、燃費の悪いガソリン車はメーカーの域内販売コストが上がった。自動車ディーラーや消費者に規制変更前の購入を促す販売奨励金によって、おそらく利益率を犠牲にしつつ、販売が急加速したようだ。2018年末の販売が軟調だったこともあり、回復は一段と勢いづいた。

 GMが77年にわたる首位独走の末に破綻し、2008年にトヨタにその座を明け渡してからというもの、自動車業界の経営者はのろいにかけられたかのようだ。VWのマルティン・ウィンターコルン元会長は2015年上半期に、業界ナンバーワンになるという長年の目標をようやく達成したが、そのわずか数カ月後にディーゼル車の排ガス不正問題を受けて辞任。日産自動車のカルロス・ゴーン元会長は自らが率いる日産・ルノー・三菱連合の生産台数が2017年に競合を上回ったが、日本の拘置所に収容される身となった。

 業界を先導しながらも、大きな問題が積み上がっていなさそうなのはトヨタ1社のみだ。ジェフリーズのアナリスト、フィリップ・フーチョイス氏は同社について、単一の有力なブランド名で似通ったデザインの製品を世界に送り出す「唯一の世界規模の自動車メーカー」と指摘する。トヨタの時価総額は2380億ドルだ。

 他社にとっての世界展開は往々にして、優位性をもたらすのではなく、修繕を要する問題になっているようだ。GMはメアリー・バーラCEOの下、それに真っ向から取り組み、欧州やインドを含む大型市場から撤退した。米最大手の自動車メーカーであるGMの世界販売台数は急減したが、利益率は改善した。

 とはいえGMの変貌ぶりは、地域レベルでは依然として規模がものをいうことを浮き彫りにしている。フランスの自動車大手グループPSAはGMから買収した欧州事業、オペル・ボクスホール部門で、製造プラットフォームの共有化によって財務立て直しを達成した。PSAは2021年初めにフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)との統合を完了させる見通しだが、投資家はPSAのカルロス・タバレスCEOが再び同じような魔法を繰り出せると期待を膨らませている。

テスラのマスクCEOは中国でのテスラ量産開始イベントでダンスを披露(英語音声、英語字幕あり) Photo: STR/Agence France-Presse/Getty Images

 EV生産ではこれにも増して規模が重要になる可能性がある。理由の1つはもう明白だ。自動車メーカー各社がそれぞれの車種をEV化する中、研究開発コストが膨らんできた。PSAとFCAが先月、統合の合意詳細で示したように、コストを分散できる生産ベースが大きいほど有利になる。インド自動車大手タタ・モーターズ傘下の英ジャガー・ランドローバー(JLR)のように小規模なメーカーは劣勢に立たされている。

 他の理由に関しては、生産が増えれば、それに伴って正当に証明されていくだろう。バッテリー技術はなお高すぎる。大量生産能力やサプライヤーに対する交渉力があれば、自動車メーカーにとって技術コストを適正に抑える最善のチャンスとなり得る。投資家がおおむねVWに強気な理由の一端はここにある。VWはEV専用プラットフォームに早くから本腰を入れており、まともな利益率をたたき出す上で大半の競合より有利な立ち位置にある。

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 VW、そしてテスラを除く業界全体にとって大きなリスクとなるのは、必要以上の工場と従業員を持つようになることだ。バッテリーEV(BEV)の組み立てはそれほど複雑ではなく、労働集約的でもない。GMと全米自動車労働組合(UAW)が昨年繰り広げた争議は、工場を閉鎖するプロセスが企業にどれほど高くつくかを物語っていた。自動車大手は雇用維持へのとりわけ強い政治的圧力に直面する上に、自由にできない資産を抱え込むことになる恐れがある。

 VWとテスラには、向こう数年の大きな共通課題が1つある。利益を上げつつEV生産を拡大することだ。優れた資源と実績があるVWの方が、うまくやり遂げる可能性がある。テスラのバリュエーションが今後も不安定になることは疑いない。話題株が猛烈なモメンタム取引と合流することがあるが、現在はまさにその状況のようだ。こうした状況では投資家が痛い目に遭うことが多い。

 ただ、テスラはほとんど特殊な立ち位置にあるとも言える。自動車業界がより環境に優しい未来への旅路を行く中、テスラには失うものが何もない。すべてを踏まえれば、マスク氏のテスラと業界他社の巨大なバリュエーションギャップは、見た目ほど奇抜というわけではない。

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