米国株は強いが、日経平均は上値重い
先週の日経平均株価は1週間で140円下がり、2万3,687円となりました。中国の武漢市で発生した新型肺炎が中国景気を悪化させ、日本の景気・企業業績にも悪影響を及ぼす懸念から、戻り売り優勢の展開となりました。
新型肺炎の感染者は16日には、世界で6万9,000人、死者は1,669人に増加しています。現時点までの数字から推定すると、致死率は2~3%と考えられます。2014年に大流行したエボラ出血熱(致死率40~50%)、2002~2003年に大流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)(致死率10%)に比べると、致死率は低いことがわかってきています。
日経平均日足:2019年10月1日~2020年2月14日
出所:楽天証券経済研究所
昨年10月以降の日経平均の動きを、簡単に振り返ります。10~12月は、世界景気回復期待から、日経平均の上昇が加速しました。
1月に入り、米・イラン開戦の不安が高まり、世界株安となる中、日経平均も売られました。ただし、米・イランともさらなる緊張の高まりを望まないことがわかると、世界的に株が反発し、日経平均も反発しました。ところが、1月後半から、新型肺炎の不安から世界株安となり、日経平均は再度、急落しました。
2月の最初の週は、世界的に株が反発し、日経平均も急反発しました。新型肺炎の感染者・死者とも想定以上のピッチで拡大しています。それでも、欧米株式市場では早々と「新型肺炎の終息」を織り込む動きが始まっている可能性があります。
先週(2月10~14日)は、日経平均の上値が再び、重くなりました。欧米株式市場では、新型肺炎のマイナス影響を懸念した売りは減りつつありますが、日本の株式市場では、新型肺炎を懸念した売りがまだ続いている模様です。
日本は、中国と地理的にも経済的にもつながりが深いので、新型肺炎による景気・企業業績へのマイナス影響が大きくなることが警戒されています。
日本へのマイナス影響として、特に警戒されているのは、以下2点です。
【1】日本の観光業への影響
中国からの団体旅行のキャンセルによって、1月から訪日外国人観光客の数が大きく減っています。外国人観光客の増加に支えられてきた日本の観光業に大きなダメージとなっています。株式市場では、いわゆるインバウンド関連株(訪日外国人観光客の消費で恩恵を受ける株)が売られています。
【2】日本の製造業への影響、特に自動車関連
春節休暇(1月24日~2月2日)明けの中国で、いまだに人の行き来が厳しく制限され、操業を再開できない工場が多いことから、中国とサプライチェーンでつながった世界中の製造業に悪影響が及ぶ懸念が強まっています。
特に、日本の製造業、中でも自動車産業への影響は大きくなる可能性があります。
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February 17, 2020 at 05:42AM
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