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Tuesday, February 25, 2020

コラム:ウイルスの恐怖、グローバル時代のルールブック書き換え - ロイター (Reuters Japan)

[ロンドン 21日 ロイター] - エボラ出血熱のウイルスが西アフリカで猛威を振るった2014年、最も影響が深刻だったシエラレオネおよびリベリアと行き来する民間航空機は、ほぼ完全に運航を停止した。しかしこの決定は国際的な保健衛生当局が下したものではなかった。航空会社の清掃員その他のスタッフが、こうした航空機への関与を一切拒否した結果だ。

 エボラ出血熱のウイルスが西アフリカで猛威を振るった2014年、最も影響が深刻だったシエラレオネおよびリベリアと行き来する民間航空機は、ほぼ完全に運航を停止した。写真は、ウクライナのポルタバ地区の村で、中国湖北省から帰還した人たちの受け入れに対して抗議するデモ隊。20日撮影(2020年 ロイター/Valentyn Ogirenko)

13―16年のエボラ出血熱の感染拡大では、感染者が約2万8000人、死者が約1万1000人に達したとされるが、今回の新型コロナウイルスとは多くの点で異なる。エボラ出血熱ウイルスの致死率は約25%と、今回のウイルスより高く、感染が広がった地域も異なる。

しかし世界は既にエボラ出血熱の際と同様、科学的に見た必要性の有無に関わらず、感染地域の孤立化を試みるという反応を見せている。これは、あからさまな恐怖感に帰するところが大きく、場合によってはことさらに緊張と警戒感をあおりかねない。

ウクライナでは今週、中国から退避した人々を乗せたバスが数十人に襲撃される事件があった。退避した人々は、14日間の隔離で経過観察を受けるため病院に向かう途中だった。

<退避した人々は「人間」>

ウクライナのゼレンスキー大統領は移送に抗議する市民に対し、退避した人々は「人間」だと述べ、思いやりを示すよう求めた。しかし新型コロナウイルスの感染拡大を巡って今のところ最も印象的なのは、通常なら基本的な人権と見なされることでも、拡大抑制を望むためなら、各国がいかに素早く破棄するかということだ。

こうした対応が本来、どの程度正当化できるかの答えは、今後も永遠に出ないのかもしれない。しかし世界的な感染拡大が抑制され得るのなら、ほぼ確実に正当化されていくだろうし、将来の新たな危機のためのモデルとなる可能性も高い。

中国自体も今や数百万人以上をあっというまに、自宅や急ごしらえの収容施設や病院に閉じ込めており、同国政府がいかに過酷になれるかを示す上でためらいもなかった。

中国政府の、特にここ数年の性癖を考えれば、これは驚くには当たらない。しかし英国やオーストラリアなどの西側諸国も、感染地域に渡航しただけの人の隔離など、かつてなかった措置を講じている。

<経済活動中止>

エボラ出血熱など他の感染症にも言えることだが、国や企業が、パンデミック(世界的大流行)を食い止められるのではとの希望から経済活動や事業活動をいかに素早く停止させるかには、目を見張るものがある。航空会社の予約状況を見ると、中国の感染地域を大きく超え、アジア全般に搭乗客が渡航を控えていることが分かる。最も感染拡大が深刻な中国湖北省武漢に通じる公共・民間交通は、ほぼ全面的に遮断されている。

関係者によると、ダイヤモンド・プリンセス号の一件以来、クルーズ船運営会社はアジアでの事業を劇的に縮小した。

科学的データや調査が不足している今、企業と国は国籍で相手を判断する傾向を強めているようだ。一部のクルーズ船は中国や香港のパスポートを持つ人の乗船を拒否し始めた。昨年、中国政府への抗議デモが続いた香港では、中国本土から感染症が渡ってくることへの懸念が、政治分断の新たな種となっている。

こうした動きがどこに行き着くのかは、まったく定かでない。韓国と日本の一部地域で感染が広がっているのを見ると、中国本土であれだけの取り組みをしても、世界的な感染拡大はもう不可避かもしれない。これが世界の政治、文化、経済にどのような影響を及ぼすのか、私たちはまだ知らない。

(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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