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Tuesday, September 20, 2022

核融合戦略 期待大きい次世代エネルギー - 読売新聞オンライン

hitagajah.blogspot.com

 安定したエネルギー源の確保は長期に及ぶ日本の課題だ。画期的な新技術の可能性を追求し、官民の投資を増やしていかなければならない。

 高市科学技術相は、将来のクリーンエネルギーとして期待される核融合について、研究開発戦略を策定する考えを表明した。有識者会議を設置し、実用化に向けた戦略を来春にもまとめるという。

 岸田首相も、核融合を含む様々な「革新炉」の開発を指示している。国が将来のエネルギー確保に向けて大きな指針を示すことは、研究開発体制の強化や、民間の参入を促すうえで意義が大きい。

 従来の原子力発電は、燃料のウランが核分裂する際に出る熱を利用する。この原理は、最近注目されている「小型炉」や「高温ガス炉」など、新しいタイプの原子炉でも変わらない。

 一方、核融合は、重水素などが融合する際に生まれる膨大なエネルギーを利用する。「地上に太陽を作る」とも例えられ、1グラムの燃料から石油8トン分のエネルギーが取り出せるとされる。

 化石燃料に頼らないため、二酸化炭素は排出しない。燃料の重水素は海水から採取でき、安定した国産エネルギー源という点で、原発以上にメリットが大きい。

 炉の特性上、重大事故が起きにくく、高レベル放射性廃棄物も発生しない。核兵器への軍事転用の恐れも少ない。「夢のエネルギー」と言えよう。

 ただ、核融合が起きる高温高圧状態を長時間維持するのは現段階の技術では難しく、実用化は2040~50年代になりそうだ。現在は、日米欧などがフランスでITER(国際熱核融合実験炉)を建設中で、25年に稼働予定だ。

 近年、各国が核融合分野への投資を加速させている背景には、ITERの成果で実用化に近づくという判断があるのだろう。米国では政府機関に加え、新興企業による技術開発も急拡大している。

 核融合開発は、国際協調から国際競争へ重点が移りつつある。政府は、ITERで基盤技術を蓄積するのと併せて、国内技術の競争力強化に乗り出す必要がある。

 京都大学発のベンチャー企業は、核融合炉の部品の設計や開発を手がけている。こうした企業が増え、産業の裾野が広がるよう、政府の後押しを期待したい。

 核融合は、地球温暖化とエネルギー危機を一挙に解決する能力を秘めている。高度な科学技術を持ち、資源の少ない日本こそ率先して挑戦すべき分野である。

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