2020年03月11日07時13分
東日本大震災の被災地に保存される震災遺構には、全国の中学校、高校が修学旅行、震災学習で訪れている。復興が進む被災地で、遺構は津波の恐ろしさを体感できる貴重な施設。教育旅行の関係者は「学校は、生徒が防災面の教訓だけでなく、『生きる力』を学ぶことを期待している」と指摘する。
気仙沼向洋高校(宮城県気仙沼市)の旧校舎は昨年3月、気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館として生まれ変わった。3階には津波で流れて来た車がひっくり返り、自然災害の脅威を見せつける。開館から10カ月、修学旅行などで訪れた中学、高校は合わせて83校、関東や関西の高校が多かったという。館長の佐藤克美さんは「修学旅行生には、語り部ガイドが付いて説明している。初年度は想定以上の人に来てもらった」と話す。
同市観光コンベンション協会の畠山雅英さんは、ある修学旅行生が遺構の内部を見て回り、「誰かが造ったのかと思った」と友人に話す場面を目撃した。「ついにそういう世代が出てきたか」と感じたといい、「津波の映像を見たことがあっても実感が湧かなかったのだろう。震災を知らない世代は一度でいいから来てほしい」と訴える。
2017年4月に公開された仙台市の震災遺構、荒浜小学校も年を追うごとに修学旅行の予約が増え、市外の学校が相当数に上るという。みやぎ教育旅行等コーディネート支援センター(同市)の小林由季さんは「最初は『震災を学ぶ』だったが、『震災から教訓を学ぶ』へと学校のニーズが変わった。復興を力強く進める被災者の話を通じ、生きる力を身に付けさせたいという学校も増えている」と解説。「教育改革で、子どもに自発的に考えさせることが求められている。被災地には学べることがたくさんある」と話す。
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遺構、津波の恐怖体感 全国の中高生「生きる力」学ぶ―東日本大震災9年 - 時事通信ニュース
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