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Sunday, July 12, 2020

香港国安法で「恐怖感がまん延」-2週間足らずで市中の景観さえ変化 - ブルームバーグ

中国が香港国家安全維持法(国安法)を6月30日に 制定した際、同法の標的は「極めて 少数の犯罪者」だと当局側は説明していた。それから2週間足らずで、中国政府が香港の街頭から抗議運動を示唆する全てを一掃しようとしていることが明白になった。

  政権転覆と国家分裂、テロ活動、外国勢力と結託して国家安全に危害を加える行為を犯罪とする法の文言は 曖昧で、最も重い量刑は終身刑。政府がさまざまな政治活動を違法と示唆して威嚇し、警察に幅広い監視権限を持たせたことで、テクノロジー企業や銀行、民主活動家、外国人居住者を落ち着かなくさせている。香港にとどまるかどうかの自問も一部で始まった。

Hong Kong Marks 23rd Anniversary of City's Return To Chinese Rule

返還式典時の行進(7月1日)

フォトグラファー:ロイ・リュー/ブルームバーグ

  「国安法は即座に深い影響を香港に与えた」と話すのは香港の弁護士で「シティー・オン・ファイア:ザ・ファイト・フォー・ホンコン」の著者 アントニー・ダピラン氏だ。「政治スローガンを叫び、横断幕を掲げ、図書館から政治関連の書籍を借り、学生や生徒が政治に関与するといった以前なら完全に合法だった多くの一般的な活動が一夜にして禁じられた。市中の景観さえ、目に見えて変わった」と語る。

Protests on the Anniversary of Hong Kong's Handover to China amid New Security Law

7月1日の抗議活動

フォトグラファー:ロイ・リュー/ブルームバーグ

  香港で数カ月続いた民主主義を支持する抗議活動で何百万人ものデモ参加者が唱えたスローガン「光復香港 時代革命(香港を取り戻せ、時代の革命だ)」は今や違法と見なされている。「香港人、建国(香港人、建国せよ)」などの訴えも国家安全を脅かすとされるようになった。

  中国への 香港返還23年に当たった7月1日、国安法施行から24時間足らずで、旗などで「香港独立」を主張した男女らが逮捕された。チベットと台湾、新疆ウイグルの独立を唱える旗も禁止された。

  反政府の立場から抗議運動に積極的に関わってきた毛孟静(クラウディア・モー)立法会(議会)議員は「中国政府は恐らく、香港市民に法にのっとった生活の仕方を学び始めてほしいと考えている。こうした発想は気味の悪い、不安な雰囲気をもたらしているようだ。不透明という恐怖感が服従への永続的な注意喚起として機能する恐れがある」と述べる。

Reactions as China Approves Hong Kong Security Law

民主化運動支持を示すステッカーがレストラン外側の壁から剥がされる(6月30日)

フォトグラファー:Lam Yik / Bloomberg

  昨年の民主化デモでは、香港住民が経営する地元の店舗が黄色いリボンや横断幕を窓に掲げて抗議運動を支持する動きも見られた。「店のオーナーにとって最も恐ろしいのは、何が許されないのかが明確に定義されていないことだ」とあるレストランオーナーは話す。このオーナーは昨年8月からデモ支援のステッカーを店に貼ってきたが、今月1日以降は取り外した。「何が法に抵触するかを考え続けなくてはならない」という。

Views of Hong Kong as China Law to Establish 'Red Lines' for the City, Adviser Says

学校に掲げられた中国国旗(左)と香港の旗(6月29日)

フォトグラファー:ポール・ヨン/ブルームバーグ

  何千人もの学生・生徒が一連のデモ活動に参加したが、もはや校内での政治活動は禁止された。これには授業ボイコット、校外で「人間の鎖」で抗議するといった活動、「願栄光帰香港(香港に栄光あれ)」といった歌を歌うことが含まれる。

   香港教育局は学校のカリキュラムも見直し、教科書など本や資料は「適切かつ良質であるべきだ」とし、言論の自由を侵害することが狙いではないとしながらも、「問題」があれば厳しく対処すると表明した。

Former Demosisto Members Joshua Wong and Agnes Chow Make Court Appearance

黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏

フォトグラファー:ポール・ヨン/ブルームバーグ

  公共図書館は国安法に違反する可能性のある多数の政治的書物を審査している。民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏や民主派政治家の陳淑荘(タンヤ・チャン)氏の本がこうした対象に含まれていると報じられた。公共図書館を管轄する政府機関は「審査過程において法的助言は求められるが、こうした書籍は図書館で借りることや参照することはできなくなる」との声明を発表した。

   

Hong Kong Gives Police Sweeping Powers Under China Security Law

スマートフォン上のソーシャルメディアアプリ

  多くの香港市民は国安法制定前後の数日間に、ツイッターやフェイスブックのアカウントを削除した。ポンペオ米国務長官は習近平総書記(国家主席)率いる中国共産党を激しく批判。「1984年」で知られる英国の作家ジョージ・オーウェルが描いたような「検閲」を香港に持ち込んだとの主張だ。黄氏が創設した政治団体「香港衆志(デモシスト)」は解散を決めた。

  香港大学のシャロン・ファスト講師(メディア法)はブルームバーグテレビジョンで、「定義されていない『例外的な事態』と呼ばれる新たなシナリオがあり、これは基本的に警察に家宅捜索やあらゆる書類の押収を実際に認めるものだ」と 説明。「違法の可能性」があると見なすだけで、警察は企業にコンテンツ取り下げを強制し得るという。

  「政府は人々を安心させようと国安法はごく少数の人物を狙ったものだと告げる一方で、これまで受け入れられてきた幅広い言動を対象とする行動を取った。その結果が、不確かさと恐怖感のまん延だ」と弁護士の ダピラン氏は指摘している。

Lunchtime Protest in Central District as Hong Kong's Leader Asks Residents to Support National Security Law

 英政府発行の海外市民(BNO)旅券が抗議活動中に掲げられた(5月29日)

原題: Here’s How China’s Law is Already Changing the Face of Hong Kong(抜粋)

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July 13, 2020 at 08:47AM
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