「ＧｏＴｏ」今じゃないでしょ 「心から歓迎できぬ」「リスク大きい」 コロナ感染拡大、鹿児島県内観光関係者から不安の声 | 鹿児島のニュース - 南日本新聞

マスクを着け、ビニールシート越しに接客する旅館スタッフ＝１５日、霧島市牧園町宿窪田の「忘れの里　雅叙苑」

　新型コロナウイルス感染拡大で需要が落ちた観光業を支援する国の事業「Ｇｏ　Ｔｏ　トラベル」が、２２日から始まる。全国的に感染拡大が止まらない状況の中、県境を越えた観光客の増加につながる施策には批判もある。不振にあえぐ鹿児島県内の観光関係者らも「心から歓迎できる状況ではない」「感染リスクが大きく怖い」と、不安の声が相次ぐ。

　観光が主要産業の与論町。山元宗町長（７６）は「いつまでも観光が滞ったままでは島内の宿泊施設や飲食業は困窮する」と事業に一定の理解を示すものの、心中は複雑だ。島へのウイルス侵入を許せば、医療態勢の危機につながりかねない。「観光客はマスク着用や検温など対策を徹底してほしい」。島内で感染者が出た場合は、来島自粛の要請も検討するという。

　旅館「忘れの里　雅叙苑」（霧島市）の田島健夫オーナー（７４）は、コロナに対する地域の警戒感は強いとし「県外客を心から歓迎することが難しい状況だ」と漏らす。「客側も楽しめず、また訪れたいとはなりにくいのではないか。（政府は）止まる勇気を持ってほしい」

　感染状況が地域で異なる中での全国一斉スタートに「地元の実情に合った対策を進められるよう、都道府県など地域に予算を配分した方がいいのでは」と首をかしげる。

　鹿児島市でのクラスター発生や県内での豪雨被害が重なった今月。高山観光バス（肝付町）は、すでにキャンセルが５件以上あった。浜松正明社長（６６）は「安心して旅行しようという雰囲気ではない。キャンペーン開始は早すぎるし、感染リスクが高まるのでは」と不安を隠さない。

　クラスター発生後、自主的に休業する店も出始めた。天文館むじゃき（鹿児島市）では従業員や利用客の感染はないが、１０日から当面、本店の一部店舗を臨時休業している。売り上げが半減し厳しい状況が続く中、事業への期待もなくはないが、前田華代取締役社長室長（４５）は「人が多い天文館や鹿児島中央駅周辺に観光客が来るだろうか」と効果を疑問視する。

　県外からの団体客には、飲食時以外のマスク着用や検温などを求める予定だが、「協力をもらえるか不安の方が大きい」と話した。

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July 17, 2020 at 08:02AM
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