昨年の「KAWASAKIしんゆり映画祭」で、慰安婦問題をテーマにしたドキュメンタリー映画「主戦場」の上映が中止された問題を検証する「連続オンライン公開講座」(全六回)が始まり、上映中止に抗議して作品を引き揚げた白石和彌監督らが、映画祭のあり方を議論した。 (中山洋子)
「主戦場」を巡っては、出演者の一部が上映中止を求めて提訴したことから、映画祭を共催する川崎市から懸念が示され、主催者は予定していた上映を取りやめた。だが、映画関係者や市民から批判が相次ぎ、最終日に上映される経緯をたどった。
二十四日に開かれた初回のオンライン公開講座では、ジャーナリストの金平茂紀さん、映画監督の森達也さんらが経過を振り返りながら「目に見えない恐怖や不安」が背景にあると分析。映画祭の直前にはあいちトリエンナーレに脅迫状が送られ、企画展「表現の不自由展・その後」が一時中止に追い込まれている。
森さんは「みんなと同じじゃないと怖いから同調圧力に屈し、組織の原理で動くようになる。ただ、そういうときに大きな集団は間違いを犯す」と「個」の重要性を指摘した。
映画祭では抗議のため若松プロダクションが二作品を引き揚げた。二十六日の第二回講座では、映画「止められるか、俺たちを」を引き揚げた白石さんと、脚本家で監督の井上淳一さんらが出演。井上さんは、スタッフらが迷いながらも再上映を実現させた経緯を「他の映画祭に背中を見せた」と評価する一方、「今後、問題が起こりそうな作品を事前に落とす動きが出そう」と懸念。白石さんは「上映できなくなる過程をオープンにしてくれたら一緒に戦える。100%自由に表現できることなどまずないが、やり方や戦い方はいくらでもある。最後まで諦めないことが大事」と話した。
公開講座には計十三人が出演予定。視聴料は各回五百円(十月三十一日午後十一時まで購入可)。十一月八日まで何度でも視聴できる。問い合わせは、同映画祭事務局=電044(953)7652=へ。
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