<SMBC日本シリーズ2021:オリックス4-3ヤクルト>◇第1戦◇20日◇京セラドーム大阪
素晴らしい勝利を収めたオリックスだが、それは日本シリーズで勝ち切る怖さの裏返しでもあった。レギュラーシーズンでも、チーム全体がどこかで「いけるぞ」という雰囲気になって、追いついたり、ひっくり返してきた。今シーズンが集約された1勝だった。
シリーズの怖さと言ったのは、両チームとも信頼して送り出した外国人投手が打ち崩されたことだった。8回はオリックス・ヒギンスが、同点から村上に中越え2ラン。9回はヤクルト・マクガフが1死も取れずにサヨナラ負けを喫したのは、もはや平常心でなかったからだろう。
マクガフが許した紅林の右前打、代打ジョーンズの四球は、いずれも追い込んでからの投球だった。続く福田のバントで慌てて三封を狙ったが、犠打野選になった。この時点で、心理状態は普段通りでなかった。無死満塁から宗の一打で同点にされ、吉田正にミートされたサヨナラ打だった。
オリックスは劇的な勝ちで、2戦目以降もヒギンスを起用しやすくなった。しかし、ヤクルトはマクガフを使うにしても心配しながらの投入になる。それだけ自滅だったマクガフの傷口は大きい。同じように失敗した外国人投手でも、大きな差になったということだ。
山本を先発に立てたオリックスは、絶対に勝たなければいけなかった。山本のペースでは投げられなかったが、上々だった。ただオリックスは、ヤクルトに手ごわい印象をもったのも確かだ。大きく流れを引き寄せたが、ここからさらに勝ち切っていくのが難しい。
このシリーズ前に、継投のタイミングと人選をポイントに挙げた。それと「DH」の戦い方。1つのミスは命取りになる。本拠で先勝したオリックスは、この流れを大切に戦いたい。
(日刊スポーツ評論家)
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