格差が大きいのはどのような企業なのでしょうか(写真:AH86/iStock)
欧米と比べて低いとされながらも、近年は高額化する傾向にある日本企業の役員報酬。一般従業員の年収と比較すると、どれほどの違いがあるのだろうか。
東洋経済オンラインでは、各上場会社の役員報酬の総額と役員数をもとにして、役員の平均報酬を算出。それらを当該企業の従業員の平均給与と比較し、役員と従業員の「年収格差」が大きい順に500社のランキングを作成した。
データは各企業の最新の有価証券報告書をもとにしている。決算期の集中する3月期決算会社では2019年度(2020年3月期)の数値となる。
従業員と役員の平均に10倍以上の格差がある会社は158社、役員の平均で1億円以上の報酬を支給している会社は73社あった。2018年の同様の調査に比べて、10倍以上の年収格差のある会社は25社増え、平均1億円以上の役員報酬企業も16社増えた。
新型コロナの感染拡大に伴う景気後退が深刻化する以前の結果だったこともあり、業績連動を強める企業ほど役員報酬が高い結果となった。
10億円以上の役員報酬企業も目立つ
ランキングの1位は、製薬大手の武田薬品工業だった。役員平均報酬の6億円強は、従業員平均年収の1091万円の55倍強になる。1億円以上の役員報酬が支払われた役員は5人いた。とくにクリストフ・ウェバー社長の役員報酬は20億7300万円と高額で、一般従業員に換算して約190人分の年収を得ている計算になる。
2位はユニバーサルエンターテインメントで、平均2億9500万円の報酬が支払われた、従業員との格差は47.7倍になる。1億円以上の報酬が支給された役員は3人いたが、中でも富士本淳社長には8億8700万円の役員報酬が支給されていて、平均の役員報酬額を引き上げていた。
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ランキング上位企業には、10億円以上の役員報酬を支給された役員も多い。例えばランキングトップ10に入った企業では、トヨタ自動車(4位)の前取締役・ディディエ・ルロワ氏の報酬額は12億3900万円だった。この金額は、豊田章男社長の4億4900万円を上回る金額だ。
また、住友不動産(9位)の前会長である高島準司氏には、22億5900万円の報酬が支払われた。ただし、このうち21億9400万円は、2019年9月に死去・退任した際に留保されていた退職時の報酬が支払われたもの。
今回算出した役員平均報酬は、社内取締役(監査等委員会設置会社の監査等委員を含む)と、執行役の平均額で算出したものになる。報酬額は定額部分と業績連動部分、退職慰労金のすべてを合算した合計額で計算している。算出には監査役設置会社の監査役や社外取締役の報酬額は含んでいない。最新の1年のみを調査しているため、直近年度に取締役の退職が重なると、例年に比べて平均報酬額が上昇する場合がある。
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