妥協せず磨いていた
私にとってはPL学園高の2学年先輩でもある桑田真澄さんが、ジャイアンツの投手チーフコーチ補佐となられることが発表されました。引退から月日も流れ、あくまで周りから見ていた印象だけですが、ジャイアンツ復帰は難しいのかなと思っていました。タイミングも年明けで急とあって、びっくりしました。 桑田さんとは毎年のように少年野球教室を一緒にさせていただいていますが、子どもたち相手に、いつも非常に分かりやすい表現で丁寧に教えられており、すごいなと思っていました。言葉プラス実際の身のこなしですね。見本となる理にかなった動きを今でも正確にできています。 私があらためて説明するまでもありませんが、桑田さんはPL学園高からドラフト1位で1986年巨人に入団され、ピッチャーとしては決して大きくない体で、エースとして長く活躍されました。ヒジの故障があり手術を受けながらも復活し、通算173勝を積み上げ、メジャーのマウンドも踏んだ大投手です。 投げ方の技術だけではなく、配球術、トレーニング方法、食事面、さらにメンタルの部分まで、妥協することなく、磨いていたからこその数字だと思います。
やっかいだったシュート
私はドラゴンズの1年目、88年から対戦があります。あのときの桑田さんは、プロ2年目の前年に15勝を挙げ、最優秀防御率、さらには沢村賞にも輝いた後でした。 マウンドの姿を見て、最初に思ったのは「体が大きくなっている」です。ウエート・トレーニングをかなりされたのだと思いますが、私が見ていた高校時代より体がひと回りもふた回りも大きくなっていて、しかも打者に威圧感を与えるフォームでした。 球も高校時代から一級品だった真っすぐのスピードが上がり、切れ、制球力、大きなカーブも健在。さらに当時はなかったスライダーも持ち球に加えていました。最初は一塁ゴロだったそうですが、正直、どの球を打ったかの記憶はあまりありません。 以後、桑田さんの引退まで何度も対戦がありました。途中から投げ始めたシュートに苦戦しましたね。私は左打者なので、正直、ほかの右投手のシュートはさほど気にならなかったのですが、桑田さんのシュートは制球もよく、自分の感覚よりバッター寄りで変化するので、球種が分かっていてもバットの先端に当ててしまうことがよくありました。どの球も制球力が素晴らしく、とにかく「追い込まれる前に」と思いながら対戦していました。 今回の就任に際し、コーチ経験のなさを不安視する声もあるようですが、そこはまったく問題ないと思います。プロのコーチというのは、アマチュア以上に経験が必要です。選手が何に悩み、どのようなアドバイスを送れば修正できるのか。桑田さんであれば、技術面だけではなく、トレーニング、心の持ちようまで、きちんと指導できると思います。 巨人の投手陣、特に若い選手は、いろいろ学ぶことが多いのではないでしょうか。 PROFILE 立浪和義/たつなみ・かずよし●1969年8月19日生まれ。大阪府出身。PL学園高からドラフト1位で88年中日入団。1年目からショートのレギュラーをつかみ新人王、ゴールデン・グラブに。その後、95年から97年とセカンド、03年にはサードでゴールデン・グラブに輝き、96年にセカンド、04年にサードでベストナインを手にしている。09年限りで引退。通算2586試合2480安打、135盗塁、打率.285。487二塁打は日本球界最多記録でもある。からの記事と詳細 ( 桑田先輩のコーチ就任は巨人にとって大きいはず【立浪和義の超野球論】(週刊ベースボールONLINE) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
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