広島市で開かれた先進7カ国首脳会議（G7サミット）が発表した核軍縮に関する首脳声明「広島ビジョン」について、長崎市の鈴木史朗市長は22日の定例記者会見で「被爆地・広島でG7首脳から、初めて個別に核軍縮に特化した文書が出された意義は大きい。核軍拡に向かう流れを変える転換点になることを期待している」と語った。
鈴木市長は「G7の首脳が被爆地を訪れ、被爆者と対話し、被爆の実相を体感した意義は非常に大きい」と強調。首脳声明に核兵器禁止条約などが盛り込まれなかったことについては「核兵器禁止条約は核兵器のない世界の実現に向けて極めて有効。（首脳声明は）不十分な点もあると思うが、今後に期待したい」と語った。【高橋広之】
韓国人原爆犠牲者慰霊碑参拝「意義あるが複雑」
「広島ビジョン」について、長崎市の被爆者、山川剛さん（86）は「核拡散防止条約（NPT）で課せられた誠実に核軍縮交渉をする義務や核兵器禁止条約に言及がなく、核兵器廃絶に向けた具体的な道筋が示されていない。核保有国が参加して被爆地で会議を開いた意義が感じられず、政治ショーのようだった」と話した。
同市の市民団体「長崎の証言の会」代表委員の大矢正人・長崎総合科学大名誉教授は「被爆地広島からメッセージを発するのであれば、唯一の戦争被爆国である日本が先頭に立ち、全ての核保有国に核廃絶を求めるべきだった。今回の首脳声明は自分たちは核抑止論を堅持しながら、ロシアの核による威嚇だけを批判するもので説得力がない」と指摘した。
また、岸田文雄首相と韓国の尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領が広島市の韓国人原爆犠牲者慰霊碑を参拝したことについて、長崎市の市民団体「在外被爆者支援連絡会」の平野伸人共同代表は「日本政府は韓国など海外に住む被爆者を長年援護の枠外に置き、被爆者たちは市民団体が支援した裁判闘争などを通じて一歩一歩、権利を勝ち取ってきた。韓国政府も自国の被爆者に冷たかった。参拝に意義はあるかもしれないが、複雑な思いだ」と語った。【高橋広之、樋口岳大】
からの記事と詳細 ( G7サミット 長崎市長が成果強調 被爆者「政治ショー」 - 毎日新聞 )
https://ift.tt/pR9Q6zW
No comments:
Post a Comment