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Friday, August 11, 2023

確かにリスキー、でもリターンは大きい…W杯優勝のために、改めて ... - 中日新聞

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サンウルブズ最後の勝利は20年2月のレベルズ戦。まだ学生だった現代表のSH斎藤、WTBフィフィタがプレーしていた

サンウルブズ最後の勝利は20年2月のレベルズ戦。まだ学生だった現代表のSH斎藤、WTBフィフィタがプレーしていた

◇大友信彦のもっとラグビー

 国際統括団体ワールドラグビー(WR)が8月7日に発表した世界ランキングで、日本が前週(7月31日)の12位から14位に後退した。2019年W杯日本大会時は最高7位まで上昇し、今年7月17日発表までは10位以内をキープ。しかし、その後、同じ時点で12位だったサモアと、13位だったフィジーにホームでのテストマッチで敗れ、一気にランキングを落とした。W杯フランス大会で同組のサモアは最新ランキングで12位、フィジーは10位に浮上した。

 サモアとフィジーが躍進している大きな理由は2つ。1つは先日の当欄で紹介した、他国・地域の代表を経験した選手が諸条件を満たせば、母国またはルーツ国・地域の代表になれるというWRの規約改正。そしてもうひとつは、再編されたスーパーラグビー(SR)にフィジーから「フィジアンドゥルア」、サモアとトンガの連合軍「モアナ・パシフィカ」が参加したことだ。

 日本代表のジョセフ・ヘッドコーチ(HC)はフィジーに敗れた試合後「SRはこの結果の大きな要因だと思う。フィジーもサモアもトンガもSRに参加して多くの選手がプロになり、ニュージーランド(NZ)やオーストラリアのチームとタフな試合を経験してきた」と指摘した上で、「日本も19年W杯までの4年間は、サンウルブズが毎週SRの試合で強度の高さとスピードを経験していたんだが」と嘆いた。

 16年に誕生したサンウルブズは日本代表候補選手たちが、テストマッチ以外の場で国際試合の厳しい経験を積む場として、19年W杯8強進出に大きく貢献したが、コロナで打ち切られた20年を最後に解散。復活を望むファンの声は多いが、日本協会の腰は重い。22年に再編されたリーグワンはシーズンがSRと丸かぶりで、各チームは看板選手を簡単に供出できない…。だが、その隙に、南洋の隠れたラグビー大国たちがその枠に入り込んだのだ…じれったい。

 記者は妄想する。松島幸太朗はフランスへ、姫野和樹はNZへ、トップ選手もチームを離れて海外でプレーした。「コロナがなければ海外で武者修行する予定だった」と明かす若手、中堅選手の声も多く聞いた。サンウルブズが復活すれば、そんな選手の受け皿にもなるのではないか。スリリングなラグビーが代名詞だったサンウルブズをうまくマネジメントすれば、日本ラグビーの海外へのショーケースとして、外貨だって稼げるはず(前回のサンウルブズにはそういう野心を持ったスタッフが多かった)。

 「次の日本代表HCにはW杯優勝に導いてほしい」と、日本協会の岩渕健輔専務理事は話す。それには選手層を厚くするための金銭と機会への投資も必要だ。サンウルブズはその投資先になり得るのでは?

 確かにリスキー。でもリターンは大きい。前回もそうだったじゃないか。

   ◇   ◇

 W杯で上位進出を目指す日本代表はじめ大学、高校、女子、海外と、あらゆるジャンルのラグビーを取材し続ける大友記者が、ニュースでは紹介し切れないエピソードや選手の思いをお届けします。

 ▼大友信彦 スポーツライター、1987年から東京中日スポーツ・中日スポーツでラグビーを担当。W杯は91年の第2回大会から8大会連続取材中。著書に「エディー・ジョーンズの監督学」「釜石の夢~被災地でワールドカップを」「オールブラックスが強い理由」「勇気と献身」など。

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