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Monday, November 29, 2021

【たばこと健康】子供への影響大きい「母親の喫煙」 - 産経ニュース

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私の勤務する高崎健康福祉大学(群馬県高崎市)では、平成18(2006)年4月にキャンパス内全面禁煙を施行し、その前年の17年以来、毎年、学生を対象にした「たばこに関するアンケート」を実施してきた。調査項目には、本人の喫煙状況の他、親・きょうだい・友人など周囲の喫煙者の存在も含まれている。

文末のデータは、今年の学生と親の喫煙状況の集計結果である。未成年者を含む学生全体の喫煙率は、男性2・7%、女性0・4%であった。喫煙経験者は男性13・1%、女性で3・3%あり、たばこを試して止めた学生が男性で10・4%、女性は2・9%いる。親の喫煙状況は、「両親喫煙」が5%程度、「母親のみ喫煙」が4%程度、「父親のみ喫煙」が25%程度あり、「両親非喫煙」が65%程度であった。

これらのデータから、親世代の40~50代の喫煙率を推計すると、男性30%程度、女性が9%程度となり、公的統計データと合致する数値であった。

本学のアンケートには、「あなたは交際あるいは結婚したい相手の人の喫煙をどう思いますか」という項目がある。これに「全く気にしない」および「あまり気にしない」と回答した人を「パートナーの喫煙に寛容な人」として、その割合を本人の喫煙経験の有無、および親の喫煙状況で分けて集計した結果を棒グラフに示す。

喫煙未経験者では、パートナーの喫煙に寛容な人の割合が男性14・9%、女性5・9%だったが、喫煙経験者になると、男性で48・1%、女性は55・8%もあった。男女とも、自分が喫煙することで他人の喫煙にも寛容になるが、その傾向は女性の方が強いことがわかる。

以前、親の喫煙が子の喫煙に影響することを本企画で報告したが、親の喫煙でパートナーの喫煙に寛容な子の割合にも違いのあることが判明した。その割合が最も低かったのは「両親とも非喫煙者」の場合で、2番目は「父親のみ喫煙」であった。「母親のみ喫煙」はそれより高く、最も高かったのは「両親ともに喫煙者」の場合であった。

「父親だけ喫煙」の場合より「母親だけ喫煙」の方が、パートナーの喫煙に寛容な人の割合が多いことに注目したい。親の喫煙を見て育つと、たばこに対する抵抗感が薄れるが、母親の喫煙は父親の喫煙よりも影響が大きいといえる。一般に母親は子どもと接する時間が父親よりも長いことから、このような傾向が生じるのであろう。

女性の喫煙率は男性の三分の一程度であるが、次世代への影響は大きいため、今後の禁煙活動では女性の喫煙防止と禁煙支援策の強化が必要と思われる。妊娠すると、喫煙する女性の大多数はたばこを止めるが、出産し授乳期を過ぎると、喫煙を再開するケースが少なくないことも事実だ。

人口動態統計によると、第一子の平均出産年齢は30歳を超えており、成人後10年間もたばこを吸い続けると禁煙は難しくなる。最初の1本を吸わせないことが重要と考える。大学などでも、健康リテラシーとして防煙をテーマに取り上げる価値は十分にある。

(高崎健康福祉大教授 東福寺幾夫)

■学生と親の喫煙状況(令和3年禁煙アンケートより)

回答内容 喫煙状態 男性 女性

学生の喫煙 喫煙中 2.7% 0.4%

喫煙経験あり(喫煙中含む)

13.1% 3.3%

親の喫煙 両親とも喫煙 6.8% 5.1%

母親のみ喫煙 4.3% 4.2%

父親のみ喫煙 25.5% 25.1%

両親非喫煙 63.4% 65.6%

※回答数は男性588人、女性1579人、回答率78.2%

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