REPORT●佐川 健太郎(SAGAWA Kentaro)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
※2020年11月18日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。
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カワサキ・Ninja ZX-25R(インドネシア仕様)
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こちらが本当の姿なのか!?
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二輪業界で今年一番の話題をさらったカワサキ・Ninja ZX-25R。およそ30年ぶりの復活となった新開発の水冷直4エンジンは、国内仕様で最高出力45ps/15,500rpm(ラム圧過給時46ps)でもちろんクラス最強。だが、今回試乗したインドネシア本国仕様は50ps/15,500rpm(同51ps)というバケモノ。同門のニンジャ400の48psを遥かに上回ると言えば、その凄さがわかると思う。
思えば、2019年の東京モーターサイクルショーで初お披露目されたとき、カワサキの開発責任者に予想スペックを聞いたところ、「出せるだけ出します!」という言葉が口を突いたことを思い出す。それは本当だったのだ。つまり、うがった見方をするならば、インドネシア仕様がフルパワーで、国内仕様はそのデチューン版とも言えるのだ。
エンジン以外の車体に関してはほぼ同じで、スチール製トレリスフレームにSFF-BP倒立フォークとカワサキ十八番のホリゾンタルバックリンク式リアショック、ラジアルモノブロックキャリパー&シングルディスクを組み合わせる足まわりも同じ。
異なるのが電子制御で、3段階調整のトラクションコントロール(KTRC)に2段階のパワーモードなどは組み込まれているが、国内仕様には標準装備のABSが付いていない。また、クイックシフターも未装備だった。調べてみると、インドネシア仕様にはスタンダード仕様と「ABS SE」仕様があるようなので、この試乗車はきっと前者なのだと理解した。
中速トルクの力強さが違う
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ZX-25Rには既に何回も試乗しているが、相変わらずガタイは大きい感じがする。フロントまわりに直4ならではのボリューム感があり、乗った感じも実際にどっしりしている。だが、走り出すと軽い。というところまでは慣れ親しんだ国内仕様と同じだが、40~50km/hで左右にロールしたときに、より軽快感がある。データ的に国内仕様より3kg車重が軽いこともあるだろうか。直接乗り比べたわけではないので何とも言えないが、確かにそういう感じがするのだ。
もうひとつ考えられるのは単純にエンジン出力の差だ。それはピークにおける5psプラスの差ではなく、きっと中速トルクの差だろう。最大トルクでたった0.2kg-mの差ではあるが、6000rpm辺りからスロットルを開けていったときのレスポンスが良く、トルクの出方が鮮明な感じなのだ。
パワー感に関してはそこまではっきりとした違いは感じられなかったが、そもそも街乗りでピークまで回せるはずもなく……。ただ、高速道路で瞬間的に加速してみたとき、8000から1万rpm辺りでの車体を前に押し出す力強さ、つまり瞬発力とトルクの盛り上がりは感じられた気がする。
本来ならば、メディア試乗会が行われたオートポリスのようなロングストレートにて同一条件で比べてみたかったが、ピーク46psの国内仕様がメーター読みで180km/hを上回ったことを考えると、フルパワー仕様がどこまで伸ばすか興味深い。ショップから聞いた情報では、シャーシダイナモではカタログ値には到達しなかったようだが、駆動ロス分を差し引いたとしても国内仕様の45ps馬力は遥かに超えていたようだ。そう考えると、ストリートレベルでも僅かながら+αの力量感を感じたのは正しかったかもしれない。
いずれにしても、どこまでもクリアに伸び切る直4サウンドは最高だし車体も良い。ただし、ABSとクイックシフターが付いてないのはやはり残念だ。これだけ高性能なモデルだけに、自分ならやはり豪華フル装備でいきたいところだ。
ライディングポジション(ライダー身長179cm)
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ディテール解説
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主要諸元
型式:2BK-ZX250E 全長×全幅×全高:1,980mm×750mm×1,110mm 軸間距離:1,380mm 最低地上高:125mm シート高:785mm キャスター/トレール:24.2°/99mm エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列4気筒/DOHC 4バルブ 総排気量:249.8cm³ 内径×行程:50.0mm×31.8mm 圧縮比:11.5:1 最高出力:36.8kW(50PS)/15,500rpm(ラムエア加圧時37.5kW(51PS)/15.500rpm) 最大トルク:22.9N・m(2.3kgf・m)/14,500rpm 始動方式:セルフスターター 点火方式:バッテリ&コイル(トランジスタ点火) 潤滑方式:圧送式ウェットサンプ エンジンオイル容量:2.9L 燃料供給方式:フューエルインジェクション(φ30mm×4) トランスミッション形式:常噛6段リターン クラッチ形式:湿式多板 ギヤ・レシオ: 1速…2.928(41/14) 2速…2.055(37/18) 3速…1.619(34/21) 4速…1.333(32/24) 5速…1.153(30/26) 6速…1.037(28/27) 一次減速比/二次減速比:2.900(87/30)/ 3.429(48/14) フレーム形式:トレリス 懸架方式(前/後):テレスコピック(倒立・インナーチューブ径φ37mm)/スイングアーム(ホリゾンタルバックリンク) ホイールトラベル(前/後):120mm/116mm タイヤサイズ(前/後):110/70R-17M/C (54H)/ 150/60R-17M/C (66H) ホイールサイズ(前/後):17M/C×MT3.50/ 17M/C×MT4.50 ブレーキ形式(前/後):シングルディスクφ310mm /シングルディスクφ220mm ステアリングアングル(左/右):35°/ 35° 車両重量:180kg 使用燃料無鉛:プレミアムガソリン 燃料タンク容量:15L 乗車定員:2名 最小回転半径:2.6m
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佐川健太郎(ケニー佐川)
早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
からの記事と詳細 ( 【低中回転トルクに違いあり】国内仕様より5ps大きい。カワサキ Ninja ZX-25Rフルパワー仕様試乗 - MotorFan[モーターファン] )
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