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Thursday, March 3, 2022

ロシアのウクライナ侵攻による「マイナスの影響」が特に大きい業種は?| - @DIME

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22年2月24日、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始した。これを受けて米欧はロシア大手銀行を国際的な資金決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除することで合意し、岸田総理大臣は27日、同措置に日本も加わる方針を示した。こうした対露経済制裁がロシア経済に大きな打撃を与えると予測される。

今回の軍事行動とそれにともなう資源大国・小麦の主要輸出国のロシアへの制裁は、ウクライナおよびロシア進出企業や現地企業と取り引きをしている企業に影響を及ぼすだけでなく、原油・天然ガスなどエネルギー価格や穀物価格の上昇も引き起こし、間接的に幅広い企業に影響が波及する恐れがある。

そこで帝国データバンクは、この度のウクライナ情勢全般による企業活動への影響を調べるためにアンケート調査を実施。 アンケートはインターネットにて行われ、期間は2022年2月25日~28日、有効回答企業数は1,437社となる。

ウクライナ情勢により企業活動に「マイナスの影響がある」企業は61.0%にのぼる

最近のウクライナ情勢全般による自社の企業活動への影響、「マイナスの影響がある」と考える企業は61.0%となった。内訳をみると、「ややマイナスの影響がある」は24.3%、「マイナスの影響がある」が36.7%だった。

他方、「プラスの影響がある」(「ややプラスの影響がある」と「プラスの影響がある」の合計)は0.3%、「影響はない」は17.3%、合わせて約6社に1社は悪影響がない結果となっている。また、「分からない」は21.3%となり、約5社に1社は影響を図りかねている様子がうかがえた。

特に原油・天然ガスなどエネルギー価格の高騰によるマイナスの影響を重視

具体的なマイナスの影響について、「原油・天然ガスなどエネルギー価格の高騰」とそれにともなう物流コストの増大などによる原材料価格や、電気代などの高騰による影響が突出して多くあげられた。次いで、「ロシアからの原料などの輸入およびロシア向けの出荷の制限」による影響のほか、「株価の下落」による影響などを見込む声が続いている。また、中国・台湾問題などへの波及を懸念している意見もみられた。企業からは、以下の声が聞かれている。

・「原油価格の高騰・液化天然ガス輸入の抑制・株価下落など経済的にはマイナス傾向が続く。木材価格・資材価格などが高止まると予想され、収益を低下させる」(建設、北海道)
・「原油・天然ガスの価格が上がると思われるので、電気代・ガソリン代・ガス代の負担が増える」(医療・福祉・保健衛生、大阪府)
・「あらゆる資材の価格高騰、サプライチェーンの見直しが必要になり原材料価格の高騰は否めない」(機械・器具卸売、山口県)
・「微量であるがロシアにも出荷している。また、他のヨーロッパ向けの出荷にも悪影響が予想される」(機械製造、兵庫県)
・「直接の影響はないかと思われるが、新型コロナショックからの回復鈍化、アルミ、ニッケルなどロシアがらみの一部商品の価格急騰、原油・エネルギー価格の高騰の影響といった諸要因がどのように絡み合って影響するかは計り知れず。総じてマイナスの影響を覚悟すべきかと考える」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売、大阪府)

一方で、プラスの影響を見込む企業からは、「短期的には、非鉄金属相場の上昇等から一時的なプラス影響があるものの、中長期的には、全体的な経済損失からみてマイナス影響が予想される」(化学品製造、東京都)といった声が聞かれた。

他方、「直接ウクライナとの取引は無いため、影響は無いと思うが、全体的にみるとウクライナ情勢が日本全体でみると何かしら発生する感じはある」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売、東京都)や「現状において具体的な影響はわからない。ただ、“何かある”と構えて情報収集に努めないと、何かあってからでは遅すぎる」(化学品製造、新潟県)といった声にあるように、「影響はない」や「分からない」としている企業でも何らかの影響が出てくるとみており、危機管理対策を強化する態勢もうかがえる。

業種別では、「運輸・倉庫」で8割の企業が『マイナスの影響がある』と見込んでいる

「マイナスの影響がある」企業を業種別にみると、原油価格の上昇により直接的に影響を受ける一般貨物自動車運送などを含む「運輸・倉庫」では76.9%と全体を15.9ポイント上回っている。

また、穀物価格の高騰が懸念材料となっている「飲食料品・飼料製造」、およびレアアースなどの取引規制が懸念される「鉄鋼・非鉄・鉱業」では約7割の企業でマイナス影響を見込む結果となった。企業からは以下の声があがっている。

・「原油価格高騰による燃料費増大が辛い」(運輸・倉庫、北海道)「レアアース、レアメタルなどの取引規制により、半導体などに供給不足が見込まれ、商品流通に支障が生じると思われる」(運輸・倉庫、大阪府)
・「原油価格の上昇により、輸出入には少なからず影響すると思われる。食品関係では、ロシアは小麦の世界的生産地であるため値上がりの懸念がある。また、原油高より全ての商品・運輸サービスに影響があると考えられる」(飲食料品・飼料製造、福岡県)
・「半導体関連の材料の供給に問題が生じるのではと懸念する。また 中国の動きによっては経済活動自体が制限される恐れもあるのではと考える」(鉄鋼・非鉄・鉱業、埼玉県)

本アンケートの結果、最近のウクライナ情勢全般により、6割の企業で企業活動に直接・間接的にマイナスの影響を見込んでいる。上述のSWIFTに加え、米欧はロシア中央銀行にも新たに制裁を科すことに合意したほか、米欧日以外の国の対露制裁の表明も聞かれ、ロシア経済への打撃が強まるとみられる。

その影響は現地に進出している企業にとどまらず、特にエネルギー価格の高騰やそれによる原材料および様々な製品の値上げを通じて、幅広い企業の収益にも及ぼす恐れがある。

こうしたなか、経済産業省は影響を受ける中小企業・小規模事業者を支援するため、相談窓口を設置するとともに、厳しい状況に直面する事業者に対する資金繰り支援を実施すると発表した。企業には政府による支援制度を活用するとともに、常に情報を収集するなどアンテナを高く張りながら企業活動を行うことが求められる。

出典元:帝国データバンク

構成/こじへい

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