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Saturday, May 7, 2022

干満の差の大きい海岸、難航した発掘作業 「ついに出た」クビナガリュウの頭部 化石には発見者の自分の名が付いた ハンターの最高の名誉に | 鹿児島のニュース - 南日本新聞

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見つかった化石を指さす宇都宮聡さん(中央)。当時は宮崎に勤務しており、発掘現場には長男(右)ら家族も訪れた=2004年5月30日、東町(現・長島町)獅子島の幣串海岸

見つかった化石を指さす宇都宮聡さん(中央)。当時は宮崎に勤務しており、発掘現場には長男(右)ら家族も訪れた=2004年5月30日、東町(現・長島町)獅子島の幣串海岸

■サラリーマン化石ハンター・宇都宮聡さん

 クビナガリュウ化石発見の報を受け、鹿児島県東町(現・長島町)は2004年4月、「獅子島地区海生爬虫類調査研究委員会」をつくりました。5月には本格的な発掘調査がスタート。高知大学、鹿児島大学、鹿児島県立博物館などの専門家でつくる調査団に私も加えてもらい、発掘に携わることになったのです。

 化石は主に肩から上の上半身が保存されているようです。長い頸(くび)を地層の中にうずめるように、頸椎(けいつい)が続いていました。

 発見現場の海岸は干満の差が大きく、満潮時には完全に海面下に沈むため、ポンプで海水をくみ出しながらの難しい作業になりました。大型の重機を使って余分な岩を撤去し、化石を含む重要な部分を慎重に手掘りしていきます。

 頸の先にクビナガリュウの頭部があるかもしれない。頸椎が続いているのを確認するたびに、発掘隊の期待は高まりました。

 いつしか発掘の穴は巨大なプールのようになり、掘り出した頸椎の数は40個を超えました。05年7月、発掘隊はついに、穴の底から黒光りする竜の歯を発見しました。

 同年9月、丁寧に周辺を掘り下げると、たくさんの牙(きば)を有する骨の塊が出てきました。竜の頭部に違いありません。国内のクビナガリュウ化石でも、頭部が残された標本は少なく貴重です。

 当時、金沢で勤務していた私に、頭部発見の知らせが届きました。「ついに出たか」と胸が高鳴りました。06年1月、発表のため鹿児島入りし、現物と対面すると、牙のエナメル質の鈍い輝きに引き込まれました。

 調査団はこのクビナガリュウ化石に発見者の私の名前を取って「サツマウツノミヤリュウ」と名付けました。化石に自分の名前が付くことは最大の夢、化石ハンター最高の名誉です。うれしいと同時に、この化石標本を研究につなげなければ、という責任を感じました。

【プロフィル】うつのみや・さとし 1969年愛媛県生まれ。大阪府在住。会社勤めをしながら転勤先で恐竜や大型爬虫類の化石を次々発掘、“伝説のサラリーマン化石ハンター”の異名を取る。長島町獅子島ではクビナガリュウ(サツマウツノミヤリュウ)や翼竜(薩摩翼竜)、草食恐竜の化石を発見。2020年11月には化石の密集層「ボーンベッド」を発見した。著書に「クビナガリュウ発見!」など。

(連載「恐竜王国!鹿児島県」より)

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