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Tuesday, May 30, 2023

疑問6 影響は大きいの? - ITpro

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全1952文字

 公衆交換電話網からIP網に切り替わることに伴い、交換機の機能で提供してきたサービスなどが終了する(表6-1)。影響が大きいのは、NTT東西が「INSネット」という名称で提供するISDNだ。

表6-1●IP網への移行に伴って終了するサービスの例

交換機の機能で提供していたサービスや需要が小さくなったサービスの一部が終了する。

表6-1●IP網への移行に伴って終了するサービスの例

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EDIやPOSなどの移行が必須

 ISDNは1契約で音声通話とデータ通信の両方を使える。2022年3月末時点ではNTT東西で合計約160万の契約がある。そのうち、データ通信向けの利用形態である「ディジタル通信モード」が2024年1月に終了する

 ディジタル通信モードはEDIやPOSレジなどに多くの企業が利用してきた。関連する各業界は別の手段へと切り替えを進めている。ただ、インターネットEDI普及推進協議会(JiEDIA)の仲矢 靖之会長代理は「中小企業などの対応が遅れ気味のようだ」と指摘する。2023年終盤に切り替えようと思っても、通信回線の調達やシステムの切り替えが間に合わない恐れがある。

補完策には2つの注意点

 そこでNTT東西は、移行が間に合わない企業向けに補完策を2027年ごろまで期間限定で提供する。NTT網内の変換装置でディジタル通信モードの信号をIPパケットに変換し、IP網内を音声と同様に最優先で伝送。受信側に近接する変換装置が元のISDNの信号に戻す(図6-1)。

図6-1●ISDNの補完策では遅延や通信断の恐れ

図6-1●ISDNの補完策では遅延や通信断の恐れ

ISDNから別の手段への移行が間に合わない企業向けに、ISDNの「ディジタル通信モード」の信号をIPパケットに変換して送信する機能を2027年ごろまで期間限定で提供する。ただしIPパケットに変換する処理の遅延や、IP網内のパケットロスの影響によって想定通りに通信できない恐れがある。

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 この仕組みでISDNの信号を転送できる。だが注意点が2つある。1つは変換処理での遅延だ。EDIなどで使われる古い通信プロトコルは低速の通信回線での利用を想定し、1回の送受信でやりとりするデータのサイズが小さいことが多い。小さなサイズのデータにIPパケットをその都度付与すればオーバーヘッドが大きくなり、遅延も大きくなりやすい。

 もう1つはパケットロスによる伝送障害だ。優先制御を最優先に設定していても、IP網ではパケットロスがゼロにはならない。通信制御用のデータを運ぶIPパケットが失われると、プロトコルによっては伝送が止まってしまう。

 特にEDIの古い通信プロトコルは要注意だ。NTT東日本が千葉県に用意した検証用の環境で、JiEDIAに参加するITベンダーが2023年1月に試験した。すると全銀ベーシック手順とJCA手順という古いプロトコルでパケットロスが原因とみられる伝送障害が1回発生。通信が成立したケースでもディジタル通信モードと比べて1.1倍から3倍近くの遅延が生じた。「高速回線を利用できてパケットロス対策も備えたインターネットEDIに急いで移行すべきだ」(JiEDIAの仲矢会長代理)。

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