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Sunday, May 21, 2023

拙速な政策転換、2%達成の芽をつむコスト極めて大きい-日銀総裁 - ブルームバーグ

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日本銀行の植田和男総裁は19日、先行きの金融政策運営について「拙速な政策転換を行うことで、ようやく見えてきた2%達成の芽をつんでしまうことになった場合のコストは極めて大きい」とし、緩和継続姿勢を改めて鮮明にした。都内で講演した。

  植田総裁は、物価2%の定着を十分に見極めるまで基調的なインフレ率の上昇を待つコストは、拙速な政策転換に伴うコストに比べれば「大きくないと思われる」と言明。目標実現に向けた芽を「大事に育て、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現することを目指す」と語った。

Day 3 of G7 Finance Ministers and Central Bank Governors Meeting

植田和男日銀総裁

Source: AP Pool

  現在の物価上昇の主因は海外に由来するコストプッシュだとし、「これを抑制しようとして金融引き締めを行うと、経済や雇用環境を悪化させてしまう」と説明。「先行きの出口に向けた金融緩和の修正は、時間をかけて判断していくことが適当だ」との認識も示した。

  4月に就任した植田総裁は、賃金上昇を伴う形での物価安定目標の持続的・安定的な実現を目指して金融緩和を継続すると繰り返し表明してきた。初参加した同月末の金融政策決定会合では大規模緩和の維持を決める一方、政策金利に関するフォワードガイダンス(指針)を廃止。1年から1年半程度をかけて多角的なレビューを行うことも決めた。

  総裁は賃上げの動きについては「中小企業への広がりも含め、今後も継続し、定着していくかを見極めていくことが必要だ」と指摘。また、基調的な物価上昇率は徐々に高まっていく見通しだが、目標に達するにはなお時間がかかるとし、「現時点では2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現が見通せる状況には至っていない」と説明した。

  その上で、「感染症のリスクは低下したとはいえ、内外経済や金融市場を巡る不確実性は極めて高い状況にあり、粘り強く金融緩和を継続していくという姿勢は不変」とし、長短金利を操作するイールドカーブコントロール(YCC)政策の下で大規模な金融緩和を継続していく方針を示した。「必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」とも述べた。

  質疑では、多角的レビューで2%の物価安定目標の見直しも対象になるかを問われ、「あらかじめ議論の範囲を限定していないが、物価安定目標の見直しを念頭においてレビューを行うことは考えていない」と答えた。2%目標の下で日本の経済・物価は着実に改善してきたと評価し、「私としては物価安定の目標を見直す必要があるとは考えていない」と語った。

他の発言

  • 政策金利に関する方針、感染症によって内外経済・金融市場が影響を受けるリスクが低下したため削除
  • 長期にわたる金融緩和の下で、副作用にもしっかり目配りが必要
  • イールドカーブの形状が比較的スムーズになるなど改善も見られる-市場機能
  • 昨年大きく上回る賃上げ、家計の所得改善通じ個人消費を後押しする
  • 長期金利の許容変動幅拡大、金融緩和効果を低下させる側面ある

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(発言の詳細を追加して更新しました)

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