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Saturday, July 22, 2023

(社説)マイナンバー 個情委の役割は大きい:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

hitagajah.blogspot.com

 マイナンバー銀行口座のひもづけの誤りをめぐり、個人情報保護委員会(個情委)が、デジタル庁に立ち入り検査に入った。個人情報を扱う行政機関の監視、監督は、個情委の重要な役割だ。存在意義が試される場面であることを認識し、責務を果たしてほしい。

 個情委は個人情報保護の司令塔になる国の機関で、有識者らから選ばれた委員長と8人の委員が合議し、独立して職権を行うと定められている。立ち入り検査は、マイナンバー法で認められた権限の行使にあたる。

 対象は、公金受取口座を別人のマイナンバーとひもづけた問題だ。リスク管理体制や自治体への手順の説明が適切だったかなどを調べ、行政指導を検討するという。

 マイナンバーの利用拡大やマイナンバーカードの普及を急ぐ政権の顔色をうかがうことなく、個人情報の適切な取り扱いを徹底させるよう望みたい。

 デジタル庁も事態を重く受け止め、検査に誠実に協力する必要がある。政府全体としても、制度への不安を高めたことを反省し、前のめりの姿勢を改めなくてはならない。

 マイナンバーやカードをめぐる混乱は、社会保障や自治体サービスにも広がる。登録作業の正しい手順の不徹底や情報システム業者の不備など、直接的な原因は様々だ。

 だが根本的には、実務を担う現場の状況を関係省庁が十分確かめずに運用を始めてしまったことが、問題を引き起こしているのは明らかだ。デジタル庁内の情報共有や、他省庁・自治体との連携の不十分さも浮かび上がっている。

 この際、デジタル庁外にも視野を広げ、実施体制や運用など組織上の課題を究明する必要がある。厳格な調査を通じ、政府・自治体にデジタル化の進め方の改善を促すべきだ。

 個情委は、組織理念で「個人情報の適正な取り扱いへの信頼の基礎を築き、国民の安心・安全を確保する」とうたう。ただ、これまでは存在感の薄さが否めず、人員体制や専門性の不十分さも指摘されてきた。

 一方で、先月にはマイナンバーの利用範囲を広げる法改正が成立し、行政監視の役割はさらに大きくなっている。いっそうの機能強化が望まれる局面にあるといえる。

 一昨年のデジタル庁発足以来、個情委の担当閣僚はデジタル相が兼ねている。政府は国会で「閣僚は個情委に権限行使を指示できない」と説明しているが、個人情報の活用と保護は時に緊張関係をはらむ。同一人物が担当するのが適切か、今回を機に再考すべきではないか。

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