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Friday, August 12, 2022

<デジタル発>円安、北海道はより打撃が大きい?その背景は:北海道新聞 どうしん電子版 - 北海道新聞

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 記録的な円安ドル高が続いています。円安になれば、日本からの輸出で得られる企業の収益が多くなるため、かつての日本では歓迎されてきました。しかし、最近では燃料や原材料の輸入コストが増え、物価の上昇につながるなどマイナスの側面が目立ち、「悪い円安」と言われるようになっています。特に北海道は、円安によって受ける打撃が大きいと言います。その背景にはいったい何があるのでしょうか。(東京報道センター 長谷川裕紀)

■経済界に不安

 「今の状況で円安になってもメリットが出ず、輸入品が高くなるデメリットが大きい」(日本製鉄の橋本英二社長)。「円安に基づくインフレ(物価上昇)がこれからの経済に悪影響を起こしていくのは間違いない」(三井物産の安永竜夫会長)

 7月下旬、3年ぶりに長野県軽井沢町で開かれた日本経済団体連合会(経団連)の夏季フォーラム。参加した大企業の経営者は会合の合間に記者団の取材に応じ、円安の影響への心配を次々に口にしました。

■24年ぶりの安値水準

 円相場は今年1、2月に1ドル=115円前後だったのが、3月半ばから急激に安くなって120円を超え、4月には130円を突破。6月には135円台と、バブル崩壊後の金融危機に揺れた1998年以来、24年ぶりの安値を付けました。7月中旬に139円台まで下落した後はやや落ち着いていますが、依然として円安傾向は続いています。


 日本銀行(日銀)の調査によると、企業が2022年度に想定している水準は平均で118円台です。実際の相場とは大きく開きがあり、企業の業績を揺さぶっています。

■要因は日米の金利差

 そもそも円安ドル高とは、円の価値がドルに対して下がることを言います。1ドルと交換するのに、多くの円を必要とすることを意味します。金融機関や投資家が毎日、円やドルを売り買いする取引でドルの人気が高まり、円を売ってドルを買う動きが広がれば円安が進みます。逆に円の人気が高まれば、円高ドル安になります。

 最近の円安は、国内で円を使っている日本と、ドルを使っている米国の金融政策の違いが背景にあると言われています。金融政策とは、中央銀行(日本は日銀)が物価の安定を目的に、景気の動きなどを見ながら、世の中に出回るお金の量や金利を調整することです。


 米国では新型コロナウイルス禍から景気が回復し、ウクライナ危機で燃料や原材料が不足したことで急激に物の値段が上がり、物価上昇率は9%に達しています。これを受け、米国の金融政策を決める連邦準備制度理事会(FRB)は金利を大幅に引き上げ、投資や消費の動きを抑えようとしています。

 一方、日本も物価がじわりと上がっているものの、上昇率は2%程度にとどまり、働く人の賃金も十分に上がっていません。こうした中で金利を引き上げれば、人々が住宅や自動車を買うためのローンを組みにくくなったり、企業が新しい設備を導入するためのお金を銀行から借りづらくなったりします。そうすると、お金の流れが悪くなり、景気が冷え込む恐れがあります。このため、日銀の黒田東彦総裁は7月下旬の記者会見で「金利を引き上げるつもりは全くない」と断言しました。


 米国の金利が高く、日本の金利が低いと、金融機関や投資家は円よりもドルを持っていた方が、資金を運用(誰かにお金を貸して利息でもうけることなど)するときに利益を上げやすくなります。こうしたメカニズムにより、ドルが買われて円を売る動きが加速しているのです。特に、短い時間でお金を売買してもうけようとする「投機筋」が、たびたび大量に円を売っているとみられます。日米両政府が円安を止める有効な手を打っていないことも、円安が続いている理由です。

■日本にはプラスだったはずが…

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