Pages

Monday, June 26, 2023

期待大きい次世代の力 意識共有し行動を 日経SDGsフォーラム ... - Nikkei.com

hitagajah.blogspot.com

2030年を達成年限とする「SDGs(持続可能な開発目標)」が中間年を迎えた。新型コロナウイルス禍は沈静化しつつあるものの、ウクライナ侵攻や高インフレなど、世界は複雑で相互に関連する様々な課題を抱え、歴史的な分水嶺に立っている。日本経済新聞社と日経BPは5月8日、オンラインとリアルのハイブリッドで、「日経SDGsフォーラムシンポジウム」を開催。産学の有識者に若手起業家らも加わり、SDGsを通じて豊かで活力ある未来をつくるため、具体的な行動と意識共有の必要性を訴えた。

【講演】人材戦略で成長判断

村尾 祐一氏 野村アセットマネジメント 常務 CIO (日本株アクティブ)

企業価値の評価基準が、欧米を中心に近年、大きく変化している。企業価値の指標となる株式のリターンは「ファンダメンタルズ(企業の基礎的条件)の成長」と「バリュエーション(投資尺度)の変化」とに分けられる。前者は会計利益などの財務情報とそれらに基づいた株価評価で説明される成長、後者は人的資本や知的財産などの非財務情報で表現される無形資産の価値評価の変化を示す。

従来、企業価値は前者で評価される部分が多かったが、米国ではその比重が後者に移っている。つまり、米国では非財務情報に基づく企業価値評価が株価を左右し、企業価値を決めているのだ。一方、日本は依然前者に重きが置かれている。これは欧米企業の多くが、対国内総生産(GDP)比で1〜2%の金額を人材投資に充てて来たのに対し、日本の人材投資は0・1%に過ぎないことが、影響している可能性がある。

こうした状況とこれまでの日米の株価格差を見ると、企業のイノベーションの素地や競争力、持続可能性、ひいては株価の潜在的な価値を見定めるには、人的資本などの無形資産に関わる評価が大変重要であることを意味する。

我々は実際に、企業の「平均給与水準、有給の取得率、雇用の安定性、評価の透明性、勤務制度の柔軟性、女性管理職比率、多様性を支える制度の有無」といった開示情報を収集。インセンティブ、レジリエンス、ダイバーシティーの3つの切り口から分析を行った。その結果、スコアの高い企業ほど、株価のリターンが良好であることを確認している。

人的資本が企業競争力の源であることは疑う余地はない。経営戦略と連動した人材戦略の開示によって投資判断を行うと同時に、その判断を投資先企業にフィードバックするプロセスを大切にしていきたい。

【トークセッション】旅通じ、地域問題考える

福島 弦 氏 Sanu CEO 
永岡 里菜 氏 おてつたび 代表取締役CEO 
モデレーター 織 朱實 氏 上智大学 大学院 地球環境学研究科 教授 

 自然や地域を守る取り組みをビジネスにどう組み込んでいくか。それを実践する企業の代表に、事業の概要を聞きたい。

福島 Sanu(サヌ)は、別荘のサブスクリプション(定額課金)サービスを展開するスタートアップ企業だ。所有する別荘は現在10拠点約61室。八ヶ岳や山中湖、軽井沢など、いずれも自然豊かで、都心から2時間前後で到着できる場所にある。コンセプトは、自然や地域とのふれあいを大切に「消費者体験ではなく生活者体験ができる」だ。客室のキッチンスペースを広く取っているのも、地元で手に入れた食材の調理を念頭においてのことである。初期費用なしにメンバーになれる気軽さも大きな特長。一方で、別荘の建築では自然環境への配慮を心がけ、環境への負荷を最小限にとどめる努力をしている。

永岡 当社の社名「おてつたび」は、「お手伝い」と「旅」とを掛け合わせた造語だ。日本各地の農家や宿泊施設は、その多くが慢性的な人手不足に悩む。そこへお手伝いをする旅行者を紹介する。旅行者はお手伝いによる収入を得ながら旅ができ、事業者は人手不足を解消できる仕組みだ。

日本には素晴らしい景観や文化を持つが、著名な観光資源がないために、あまり知られていない土地が多くある。こうした地域も、お手伝いという目的があれば、旅行者は足を向ける。そして、その土地の魅力を知り、それが地方の活性化につながる。現在、登録された旅行者は約3万5000人、20代の大学生が多いが、60歳以上のシニア層の利用も増えている。一方、受け入れる事業者は全都道府県に約970カ所を数える。

 いずれも面白い取り組みだ。事業化には苦労が多かったのではないか。

福島 地域の信頼を得るまでが難しかった。別荘を建設すると切り出せば、当然、警戒される。地域の人々が最も気にかけるのが自然環境の保全だ。地域の子どもたちが蛍を見に行くような静かなエリアに、ピカピカな電飾の看板が掛けられるのではないか。そうした不安が地域の方の頭によぎる。我々はそれらを1つずつ解消し、従来型のリゾート開発との違いを説明していく必要があった。

永岡 農村地域には、都会の人間に対する抵抗感があることもある。おてつたびの場合も、創業当初は信頼関係の構築が課題だった。実績を積み、「おてつたびさんに、また来てほしい」といわれるようになったのは最近だ。一方で地域の人たちは、自分たちのエリアだけでの人材確保はもはや無理だと気付いている。実績を重ねることで、新しい人材確保の手法も理解いただけると考えている。

 いずれもSDGs的な考え方に合致した取り組みだと思うが、一方で採算面が気になる。どんなによい取り組みでも、継続できなければ意味がない。

福島 鍵はテクノロジーの活用によるコスト削減だ。例えば、別荘へのチェックイン・アウトなどはIT(情報技術)機器で代替する。その半面、地域の人たちへの説明は人間が丁寧に行う。また、別荘の建物はできるだけ工場内であらかじめ組み立てる。こうした工夫で、コストと環境負荷の双方を削減している。

永岡 おてつたびもITを活用している。実は、おてつたびのような働き方は昔からあった。例えば、旅館の常連客の息子が、夏休みにその旅館に住み込みで働く。大学のスキーサークルの部員が代々、特定のスキー場で働くというケースはよく聞く。おてつたびはそれをリブランディングし、ITの活用で、新たな形の人と人の出会いを仕組みにした。おてつたびの利用で、農業などに従事した学生は、「これまで言葉でしか知らなかった少子高齢化や過疎化といった問題を目の当たりにした」と、よく話してくれる。体験をきっかけに日本の農業や食の未来を考え始め、別のSDGsの取り組みへとつながった例もある。

 「SDGsの問題に取り組むときは、3ステップで考えなさい」と、学生には話している。まずABOUT(問題を知る)、次にIN(深く関わる)、そしてFOR(自分に何ができるか)だ。今回2つの事例は、まさにこのステップに沿って生まれている。今後の発展に大いに期待している。

【 トークセッション】SF的視点、創造と思弁の源に

合原 一幸 氏 東京大学特別教授・名誉教授 
関元 聡 氏 第10回日経「星新一賞」一般部門グランプリ受賞者 
池澤 春菜 氏 声優/文筆家 
モデレーター 滝 順一 日本経済新聞社 編集委員 

 2年連続して日経「星新一賞」のグランプリを受賞した関元さんと2人の審査員を迎え、SF的視点からSDGsの解決方法を探ることについて考えてみたい。

合原 審査員として応募作品を読み、多くのインスピレーションを得た。宮下ぴかり氏の「エピローグ」もその1つだ。同作は長い時をともに過ごした人間とアンドロイドの夫婦の物語。私はそこから「曖昧な人間の記憶」と「正確なコンピューターの記憶」を整合させることの可能性を考えた。2人で記憶を紡いできた老夫婦。そんな関係を人間と人工知能(AI)の間でも作れるのではないか。数理工学的にも興味深い問題だ。

関元 私は自然環境保全に関わるコンサルタントの仕事に就いている。第9回の受賞作品「リンネウス」では、炭素原子に偽装して生態系を調べる探査機の話を書いた。20年以上にわたる現地調査の経験、学生時代から学んできた生態系の知識、そして幼少時から愛読してきたSF小説で身に着いた発想力の3つが組み合わさってできた作品である。

池澤 SFは一般的にはサイエンス・フィクションの略語とされるが、なかにはスペース・ファンタジーの略だとする人もいる。藤子・F・不二雄先生は「すこし・ふしぎ」の略と解していた。私のお気に入りはスペキュラティブ・フィクションだ。スペキュラティブを日本語にすると「思弁的」となる。つまり「未来のことを想像し、頭の中で試行する」行為は、私にとって全てSFだ。

 近年、SFプロトタイピングがビジネスの世界でも注目されている。

池澤 SFが持つ想像力、発想力、飛躍力を現実の課題解決に生かすのがSFプロトタイピングだ。未来社会の具体的な姿をナラティブ(物語)として示す。そこから実現を目指し、研究開発を進めるわけだ。

合原 科学とは、先人の研究成果の上に立ち、そこから新たな成果を付け加えていく作業。つまり、基本的にはフォアキャスティングな取り組みだ。ところが最近、その逆向きのバックキャスティングな手法が重視され始めた。例えば、SDGsは2030年をターゲットに、その時点の望ましい姿を描き、そこから目標の実現を狙う。内閣府のムーンショット型研究開発制度もターゲットを50年に置き、そこから具体的な研究内容を定めている。これらは、まさにSFプロトタイピング的で斬新な試みといえよう。

 気候変動やエネルギー問題、少子高齢化問題、さらには世界の分断など、人類が抱える課題が山積するなか、SFやSFプロトタイピングの役割は大きいのではないか。

池澤 以前、某所で「SF作家は未来を予知できるか」という問いかけを受けた。しかし、SF作家は予言者ではない。またSFを予言と考えると、当たるか外れるかという興味に話が矮小(わいしょう)化してしまう。SFの真価は想像力の及ぶままに無数の未来、あるいは過去を生み出すことだ。私たちは、そのなかで望む世界や望まない世界を疑似体験して、未来に備えたり、未来を変えたりしていく。それがSFの役割だ。

関元 フィクション全般、とりわけSFの世界では、自分とは立場の異なる人間はもちろん、他の生物や無生物、さらには宇宙人などの身になって物事を考える。ダイバーシティーが叫ばれる現在、大切なのはジェンダーや人種、様々な価値観の違いを乗り越えて、いろいろな立場の方に寄り添うことだ。SFはそのツールになる。

 SFやSFプロトタイピングに対する期待は。

合原 私は科学者であり、SF小説は書けないが、SF的視点からのネタ集めはできる。そうした発想が人類の未来をより良き方向に導くとしたら、大変幸せなことだ。

関元 SFはこれまで比較的閉じた世界で楽しまれてきた。ビジネスの世界でもSFプロトタイピングが注目され、SFが多くの人々にとって身近なものとなったことは喜ばしい。

池澤 科学に弱いからとSFを敬遠する人が多い。でも、SFが描くのも、結局は人間だ。宇宙やアンドロイドは、そのための設定に過ぎない。食わず嫌いしないで、読んでほしい。

 多くのビジネスパーソンに、ぜひSFプロトタイピングを試してほしい。課題解決の糸口がつかめるかもしれない。

【パネルディスカッション】非財務情報の積極開示を

松島 憲之 氏 SESSAパートナーズ チーフ・アドバイザー 
中空 麻奈 氏 BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長 
牛島 慶一 氏 EY Japan 気候変動・サステナビリティサービス(CCaSS)リーダー プリンシパル 
モデレーター 酒井 耕一 日経BP総合研究所 ESGフェロー 

酒井 産業構造や投資行動の変化をどう見ているか。

松島 自動車業界ではガソリン車から電気自動車(EV)への大転換が始まっている。以前は燃費の良いガソリン車を開発し、安い値段で供給することが正義だったが、それがダイベストメント(投資撤退)の対象となり始めた。破壊的イノベーションは従来の産業構造を否定するが、新しい時代に合った産業構造をつくり出していく上で、既存技術を生かすことも必要だ。

中空 投資はリターンを得ることが前提で、これまで投資家はもうかるところに資金を投入すればよかった。しかし変化が前提の今、変化への対応力のある企業を見極め、そこへの投資が求められる。つまり、次のリターンをどこで得るか、生き残る企業や産業を見つけていくのに、ESG(環境・社会・企業統治)の視点が不可欠であり、ESG投資に注目が集まっている理由だ。

牛島 SDGsが目指す世界の実現には、経済のメカニズム、資金の流れを変えていく必要がある。なぜなら現在の経済活動が地球環境に負荷をかけていることは明らかだからだ。強制されて変わるか、自ら率先して変わるか、今企業は問われている。そこでパーパス(存在意義)の見直しから始め、ビジネスドメインの再設定が欠かせない。

酒井 サステナビリティー時代の投資や経営の在り方は。

松島 リスクとリターンという2軸に、社会的インパクトを加えた三次元投資の世界へと変化してきている。売り手よし、買い手よし、世間よし、近江商人の経営思想「三方よし」こそ、SDGsを軸とした世界の理想的な姿。ただそこへと至る前に、三方我慢あるいは三方譲歩が必要になる。そこで利益至上主義ではなく、企業活動の社会的影響を考えて投資先を選ぶ必要がでてきた。

中空 例えば、環境問題への取り組みに積極的な国のグリーンボンドを購入した。しかしその国は人権問題を抱えている。こうした状況は当たり前で、完璧な投資先はなく、よい部分を見つけて投資するしかない。ポイントはマルチステークホルダーを意識すること。利益をあげることで、何か不具合が起きていないか。企業は常に自問自答し、経営責任を果たすことが必要だし、投資家もリターンだけを意識していてはいけない。

牛島 サステナビリティーを考慮した経営の推進には矛盾が多く、トレードオフをトレードオンに変えるのは正直難しい。重要なのは、市民社会やステークホルダーとのコンセンサス。企業は説明責任を果たし、コンセンサスを得ることが必要で、それができないのであれば、ルールに従わなければいけない。新しい秩序をつくりながら、新たな市場を生み出していくことも大切だ。

酒井 説明責任を果たす上で、非財務情報を開示する際のポイントは何か。

牛島 透明性と重要性の2つ。コンセンサスを得る上で、この2つの視点が欠けてはダメだ。しかしそれを1つの媒体で両立させることは難しい。そこでビジュアル表現や情報量の多さ、アクセスのしやすさなどから、ウェブを上手に活用していくことが期待される。

中空 投資家が開示された情報をチェックしていく際に、よい部分をたくさん見つけると同時に、不足部分は何か、伸びしろはあるかなども読み取ることが大切だ。貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)にチェックポイントがあるように、統合報告書などを見て評価するためのひな型づくりが必要だろう。

松島 米国では投資判断の重要性について、財務情報の5%に対して非財務情報は20〜30%というデータがある。投資家は企業の潜在的情報価値を見極める上で、ガバナンスや人的資本など非財務情報を重視しているのだ。今後重要となるのが、知財戦略の開示。他社との差別化に必要なイノベーションの原動力となるからだ。

酒井 最後にSX(サステナビリティートランスフォーメーション)推進に向けたアドバイスを。

松島 いま多くの企業が抱えるPBR(株価純資産倍率)1倍割れ問題。真の企業価値が投資家に伝わっていないことが一因だ。潜在的な企業価値を見える化し、非財務情報をきちんと伝えることが欠かせない。

中空 SDGsや社会課題に対して、企業は収益を得ることの辻つま合わせが不可欠となっている。そこで自社の強みは何で、どんなパーパスでやってきたか。ステークホルダーに理解を得るための積極的な情報開示を期待する。

牛島 ボーダーレスなリーダーと多様性に対する寛容がキーワード。理想に向かって行動を起こし、行動変容につなげる。対立軸をつくるのではなく、協調や同期を意識して進めることが大切だ。

【 パネルディスカッション】スタートアップとコラボ、変革加速

長坂 剛 氏 エーテンラボ 代表取締役CEO 
猪川 崇輝 氏 Buzzreach 代表取締役CEO
田尻 望 氏 カクシン 代表取締役
赤木 円香 氏 MIHARU CEO 
モデレーター 蟹江 憲史 氏 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授 

蟹江 「次世代が担うSDGsのリアル」と題し、若手起業家4人と持続可能な社会の実現について考える。私は9月の国連総会SDGsサミットで公表予定の報告書(GSDR)の執筆メンバーの1人だ。報告書でも公表予定だが、現時点で2030年目標を達成できそうなのは数項目しかない。目標達成にはイノベーションの芽を育て、行動変容を促して一気に社会全体に変革を広げる必要がある。企業活動を通じて実際に変革に取り組んでいる皆さんに、自己紹介をお願いしたい。

田尻 当社は企業経営の革新と人材育成の支援を主業務とする創業7年目のコンサルティング会社だ。企業の「構造(仕組み)」にアプローチし、商品・サービスのもつ「付加価値」を革新することで、最小の人の時間・資本による最大の付加価値創出を目指す。プラダクトアウトではなくマーケットイン、コモディティー化ではなく競合差別化、価値ベースによる価格決定、価値によるシェア獲得、御用聞きではなくソリューション提供という「価値主義経営」への変革を支援している。

蟹江 量から質へというのはSDGsの視点と共通する。

赤木 当社は「Age Wellな人生に伴走する」を理念とする21年創業の会社だ。現在の主要事業は2つ。「もっとメイト」は孫世代による相棒サービスで、20〜30代の若者が70〜90代のシニア世代の自宅を訪問し、介護や家事代行以外の困りごとの解決や、暮らしを豊かにする提案を行なっている。介護はマイナスをゼロに戻すが、当社はゼロからプラスを担う。「モットバ!」は会員制の多世代コミュニティスペースだ。利用法は多様で、スマートフォンの使い方教室なども開いている。

長坂 当社は「テクノロジーでみんなを幸せにする」をミッションに、「みんなが行動変容できる世界をつくる」をビジョンに掲げる16年創業の会社だ。「みんチャレ」という5人1組で楽しく励まし合うピアサポートのスマホアプリを提供。生活習慣の改善証拠写真と一言をアップしてお互いを支え合うなど、生活習慣病予防やフレイル予防、禁煙などをサポートしている。アプリ内の仮想コインがたまる仕組みを通じ、コインを貧困・飢餓・環境などの社会貢献活動に使える寄付プロジェクトも展開している。

蟹江 ネガティブではなく、対象をポジティブ視点で捉えている点が共通している。

猪川 当社は17年創業で、製薬企業と医療機関と患者をつなぎ、主に治験分野の課題解決に取り組んでいる。日本の新薬開発では年間約800件の治験が実施され、獲得可能な市場規模は約8000億円。しかし、新薬承認までには10年、開発費は1000億円以上かかっている。当社は治験全体の効率化で期間とコストの半減化を目指している。病院のデジタル化促進や、治験候補者への医療リテラシー向上にも貢献している。

蟹江 今後の取り組み予定を聞きたい。

田尻 付加価値増加の社会的効果は大企業ほど大きいため、大企業の顧客を増やしたい。海外展開も検討中だ。また、生成AI(人工知能)の正しい使い方についての知見も広めていきたい。

蟹江 生成AIは学生の提出リポートでも問題になっており、「AIと自分の考えを比較せよ」といった課題を出すようにしている。赤木さんは生成AIを使っているか。

赤木 昨年末から、訪問報告の解析に活用している。要は使い方次第だ。シニア世代に対する認識も変革が必要で、実際はとてもエネルギッシュだ。当社は大学生の人材育成も兼ねた派遣をしているが、学生のコミュニケーション能力が飛躍的に向上する一方、シニアのDX(デジタルトランスフォーメーション)能力も向上する。この相棒としての相乗効果に、さらに注力していきたい。

長坂 「みんチャレ」の顧客は健康保険組合が多いが、新たなコミュニティーの形成にも使える。フレイル予防の場合は地域内でのメンバー構成が多く、実際にオフ会に発展するケースも出ている。

猪川 SDGs項目にはパートナーシップでの目標達成もある。スタートアップは協業を通じて変革をスピーディーに実現できるのが強み。コラボを大切にしていきたい。

蟹江 最後に、SDGs活動の活性化には何が必要か。

田尻 課題のあるところにこそチャンスがある。

赤木 市場変革を目指すムーブメントの創生。

長坂 当事者意識。個の活動が社会全体を変える。

猪川 達成貢献の可視化と、スタートアップに対する評価。

蟹江 可視化は重要な宿題だ。次世代と現世代が互いに学び合い、目標達成に向け活動を推進してほしい。

◇  ◇  ◇

※日経チャンネルでアーカイブをご覧いただけます。こちらからお入りください。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 期待大きい次世代の力 意識共有し行動を 日経SDGsフォーラム ... - Nikkei.com )
https://ift.tt/QkXBYvA

No comments:

Post a Comment