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中国の臨夏盆地からは哺乳類化石がたくさん見つかります。これまでにヒッパリオンやキロテリウム、そしてキロテリウム以外のサイの仲間について紹介してきました。他にはキリン科のサモテリウムやパレオトラグスが生息していました。どちらも現生のキリンよりも小型で、キリンのように目の上に骨の角を持つ種です。
さらにはテトラロフォドンというゾウの仲間がいました。プラティベロドンのようにシャベル型ではありませんが、下あごが前方に伸びていて、現生のゾウとは姿が異なります。
サバンナのような環境
それにライオンよりも大きなハイエナともいえるディノクロクータという肉食性の哺乳類も見つかっています。こうしてみると、現在のアフリカのサバンナで見られる動物たちにそっくりです。中国にはアフリカのサバンナのような環境が存在していたのです。これらの化石の年代は中新世後期(約900万年前)と推定されていて、これは地球全体が乾燥する時期に相当します。
ディノクロクータとブチハイエナは別のグループ同士ですが、獲物の骨をかみ砕くことができるという点で共通しています。歯や骨にどのような工夫がみられるかというと、まず大きくて鋭い歯を持っています。イヌと比べるとその違いがはっきりわかり、短いあごは太くてとても頑丈なのです。今度はディノクロクータとブチハイエナの違いを観察しましょう。ディノクロクータはライオンよりも大きいので、まず大きさの違いに驚くでしょう。そしてディノクロクータの鼻先はブチハイエナよりも短いという特徴があります。
仮に2種が同じ大きさだったと仮定してあごの頑丈さを調べた研究があります。それによると意外にもディノクロクータのあごの方が弱かったようです。ディノクロクータは、下あごの奥歯よりも後ろの骨に力がかかりやすいという研究結果が出たのです。ディノクロクータは頭骨以外の骨があまり見つかっていないので、わからないことが多い種でもあります。<イラスト・スズキソノコ>
木村由莉
国立科学博物館研究員。専門は化石哺乳類。アメリカ・サザンメソジスト大学で博士号。2015年から現職。「化石の復元、承ります。」(ブックマン社)、「きょうりゅうのたまごをさがせ 改訂版」(理論社)などを監修。
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からの記事と詳細 ( ゆり先生の化石研究室:/21 ライオンより大きい肉食獣 骨かみ砕くディノクロクータ - 毎日新聞 )
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